皮膚の痒みは本当に辛くて、どうしても引っ掻いてしまいますが、掻くことによって皮膚が傷つき、刺激を受けてかえって痒さが増すという悪循環になってしまいます。掻きむしって肌が剥け、真っ赤になった赤ちゃんの皮膚を見ると、本当に可愛そうに感じるものです。
アトピーの直接の原因としては皮膚への何らかの刺激が挙げられます。汗、皮脂、皮膚の垢、細菌、カビ、ダニ、薬品、石鹸といった皮膚に付着するものから、卵や牛乳といった食材や薬品などが原因となり得ます。
そのような刺激は誰にでもあるもので、皮膚の痒みは誰にでも発生しますが、そこで慢性的に痒みが発生し、それを絶えず掻くなどして皮膚のバリアが破壊されると、汚れや細菌、ダニなどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)が皮膚内に侵入し、本格的なアトピー性皮膚炎に発展します。
アトピーの治療の原則は、痒みを軽減させる治療と皮膚の保護、保湿、清潔を保つことなどとされます。こまめにシャワーを浴びるなどして汚れを落とし、炎症を抑える軟膏や保湿剤を皮膚に塗布し、むやみに掻かないことが大切です。また原因となるアレルゲンは極力除去することも必要です。
痒みや皮膚の炎症を強力に抑える薬剤として副腎皮質ステロイドがあります。ステロイド軟膏を塗布するときわめて素早く痒みが治まるので、まるで万能薬のように感じてしまいますが、ステロイドには免疫力を低下させるという深刻な副作用があるために、かえって皮膚の炎症を悪化させる場合が少なくありません。
アトピー増加の理由に関しては、住宅内にダニやカビ、化学物質などのアレルゲンが増加したという環境面の要因が指摘されていますが、花粉症やぜんそくと同様に、現代人自身の体質の変化という側面も無視できないようです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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