ところでご高齢の方々に尋ねると、口を揃えて「昔は花粉症などなかった」という答えが返ってきます。花粉症という病名がなかっただけでなく、花粉症らしい症状、つまり春先など限られた季節に鼻水やくしゃみを連発する、といった症状が昔は殆んどみられなかったのです。
それではこの花粉症が最近になって急増した原因としては、どのようなものがあるでしょうか。ひと頃注目されたのはスギ花粉そのものの増加です。戦後間もなく住宅建築などの用途で杉の植林が盛んな時期がありましたが、近年になりちょうど杉の開花数が急増した、というのです。
また宅地開発が山間部にまで及び、杉林の近くにも住宅が建つようになったとも言われていますが、いずれも決定的な原因とは言えないようです。日本列島には杉は昔から植えられていましたし、杉林から遥か離れた地域にも花粉症の被害は及んでいます。花粉自体は今も昔もそんなに変わらないのです。
それでも花粉症という病気が増えてしまったのは、日本人を取り巻く環境や身体の内部にその事情があると考えられます。つまり花粉以外の環境要因が劇的に変化したことと、日本人の体質に大きな変化が生じていることがその要因の一つになります・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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