日本家屋に学ぶ
長寿命住宅をつくるには、ライフスタイルの変化に、家が対応できる事が必要です。
手を加えなくても、そのままで変化に対応できる家とは、どんな家でしょうか。
身近なものは、日本家屋です。
部屋は、障子やふすまで区切られています。
これらは、間仕切にもなる建具:可動間仕切りです。
部屋間のフスマを閉めれば別々の部屋となり、開ける、あるいは外してしまえば、大部屋として使えます。
日本家屋は、「居間」、「食堂」、「寝室」のようなはっきりとした部屋名がありません。
部屋を呼ぶのに、「10畳の間」「8畳の間」のように、畳数で呼んだりしていました。
これは、部屋に特定の機能を決めつけていないからです。
洋式の家のように、居間にマントルピースがあったり、個室にベッドがあるわけでなく、どの部屋も床は畳(又は板)、収納は押入があるだけです。
どの部屋ででも、くつろぐことはもちろん(居間)、卓袱台を入れれば食事をすることも(食堂)、布団を敷けば寝ることも(寝室)できます。
日本家屋は、極めてフレキシブルなつくりと言えます。
なぜ日本家屋はこのようにつくられたのでしょうか。
昔の家は、現在以上に大家族が普通でした。2世帯(多世帯))住宅です。
と同時に、子供に恵まれなかったり、死んでしまい、小家族の時もあったはずです。
つまり、現在以上に家に住む人数が増えたり減ったりし、それを許容する必要がありました。
又、昔は、家で、冠婚葬祭を普通に行ないました。
一時的に大人数が出入りし、食事し、宿泊しました。
これらに適応するために、長い年月をかけ、日本家屋スタイルが確立されたと考えられます。
このコラムの執筆専門家

- 森岡 篤
- (建築家)
- 有限会社パルティータ 代表
庭を取り込む心地良い空間、永く住むためのフレキシブルな家
家づくりは、建て主にとっても、とても手間がかかることですが、苦労した結果、建物が実際に形となり、できあがっていくのは、本当に楽しいものです。遠い将来、この家に住んで良かった、と感じてもらえるような、家づくりのお手伝いをしたいと思います。
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