KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)第2回 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)第2回

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   米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)
      〜常識と長期間未解決であった必要性〜(第2回) 
   河野特許事務所 2010年2月24日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Perfect Web Inc.,
              Plaintiffs- Appellant,
                 v.
               InfoUSA Inc.,
               Defendant- Appellee.

2.背景
 Perfect Web(以下、原告という)はU.S. Patent No. 6,631,400(以下、400特許という) の所有者である。400特許は、目的とする消費者グループに対し大量の電子メールを配信する際の管理方法をクレームしている。400特許は電子メールシステムの熾烈な開発段階にある2000年4月13日に特許出願され、2003年10月7日に特許が成立した。


参考図1 大量電子メール配信システムを示す説明図

 参考図1は大量電子メール配信システムを示す説明図である。大量電子メールサーバ4はマーケティング担当者6の依頼を受け、大量の電子メールを受信者8,9,10に配信する。サーバ4は、配信メール中、配信に成功したメール数と、所定数量とを比較する。そして、配信メール数が所定数量に達しなかった場合、配信メール数が所定数量に達するまで、受信者のマッチング処理、配信処理及び計数処理を繰り返し実行する。

 原告はInfoUSA(以下、被告という)が400特許クレーム1を侵害するとして、フロリダ州連邦地方裁判所へ提訴した。

 問題となった400特許のクレーム1*3は以下のとおりである。
1.大量電子メール配信管理方法であり以下のステップを含む、
(A)目標受信者プロフィルを目標受信者グループとマッチングさせ、
(B)前記マッチングしたグループ内の目標受信者へ、一組の大量電子メールを送信し、
(C)前記一組の大量電子メールの内、前記目標受信者により首尾良く受信されたメール数を計算し、
(D)前記計算された数が、首尾良く受信されたメールの所定最小数を超えない場合、前記計算された数が前記所定最小数を超えるまで、前記(A)〜(C)のステップを繰り返す。

 クレーム1の内、ステップA、B及びCは先行技術に開示されている。ステップA〜Cを繰り返すステップDは先行技術に開示されていない。地裁は、ステップA〜Cの処理を繰り返すことは常識であり自明であると判断した*4。原告はこれを不服として控訴した。
                                   (第3回へ続く)

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