
- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
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- (弁護士)
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- (行政書士)
〜公知要素の組み合わせとMPFクレーム〜(第3回)
河野特許事務所 2010年1月12日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Fresenius USA, Inc., et al.,
Plaintiffs- Appellants,
v.
Baxter International., Inc., et al.,
Defendants-Cross Appellants.
3.CAFCでの争点
争点1:組み合わせにより自明といえるか-マーカッシュ形式
131特許のクレーム1が自明か否か争点となった。
131特許のクレーム1*4は以下のとおりである。
1.血液透析装置であり以下を含む、
(a)血液透析器に対し透析液を供給する透析液送出システムと、該透析液送出システムは、少なくとも下記の(i)-(iv)からなる群から選択される少なくとも一つのユニットを含み、
(i)透析液準備ユニット
(ii)透析液循環ユニット
(iii)限外ろ過液除去ユニット及び
(iv)透析液監視ユニット
(b)前記透析液送出システムに対し操作可能に接続されるユーザ/装置インターフェースとを備え、
該ユーザ/装置インターフェースは、前記血液透析装置の操作に関係するパラメータのセッティングに関する情報を表示するタッチスクリーンを含み、
該タッチスクリーンは、タッチスクリーンを使用させることにより、パラメータの設定を変更するための少なくとも一つの手続ステップをユーザに実行させる印を表示でき、
該タッチスクリーンは、操作パラメータの時変分析結果を表示し、当該分析結果は座標値のプロットとして表せ、該プロットは操作パラメータ値の縦座標と時間ベースの横座標とに関する。
地裁はマーカッシュ形式*5で記載された構成要件(a)に対応する事項が先行技術に開示されていないと判断した。血液透析装置は公知であり、また医療機械にタッチスクリーンを一体化することも公知であった。しかしながら地裁はKSR最高裁判決前に適用されていたTSMテストを採用し、先行技術中に血液透析装置とタッチスクリーンとを組み合わせるための動機が存在しないとしてクレーム1を非自明と判断した。
マーカッシュ形式で記載された構成要件(a)に対応する事項が先行技術に開示されているか否かが争点となった。また地裁判断時はKSR最高裁判決前であったためTSMテストが用いられていた。KSR最高裁判決後、自明性をどのように判断するかが問題となった。
(第4回へ続く)
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