まず酒の効能としては血管を拡張させる作用があり、適量の範囲では心臓病など血管疾患の罹患率が減少するという臨床データがあります。心筋梗塞や脳卒中などの病気を抑制するというのです。百薬の長などという表現は、主にこの傾向を指しているようです。
ただし適量を過ぎてしまうと、逆に血管を収縮するなどの悪影響が出てしまいます。その適量というのは個人差がありますが、よく飲める男性であっても日本酒換算で1合前後、多くとも2合までとされています。
精神的な効能としては、適量の酒が入ることによって心がリラックスし、緊張が解けるということがあります。それによって普段怖くて話もできないような相手と訳もなく話ができるようになり、人間関係が改善したり組織運営が円滑になるなどの好影響も期待されます。
それから食欲を増すなど消化器系に良い影響が出ることも挙げられます。適度のアルコールは胃粘膜を刺激して消化を助けます。会食や宴席で「食前酒」が振舞われるのはそのためです。また酒とその器は、食卓に華やかさを演出してくれます。
また食文化の歴史を紐解いても、酒と食との間には切っても切れない縁があります。古来、趣向を凝らした数々の料理や食器、調度品は、食材もさることながら酒類によっても引き立てられていました。料理そのものが酒を美味しく飲むために拵えられてきた側面もあるのです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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