新会計ルールを知り国際基準に対応する【IFRS】 - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

澤田経営研究所 澤田和明
澤田経営研究所 代表
群馬県
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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新会計ルールを知り国際基準に対応する【IFRS】

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世界110カ国以上で採用されている国際会計基準、IFRS(International Financial Reporting
Standards)に関する話題が盛り上がっています。主要ビジネス雑誌で特集が組まれたり臨時増刊号が発行されているほか、関連書籍がいくつもの書店の店頭に並べられています。
では、なぜIFRSに関する話題が高まっているのでしょうか?

<IFRS適用は世界的トレンド>
理由のひとつは、会計基準の国際的統一という世界的なトレンドです。
企業活動の国際化が進む中、現行の会計制度は国ごとにそれぞれ異なるため、各国で採用されている会計基準では国際間比較は困難であり、会計基準の国際的統一が期待されてきました。この点、IFRSは国際会計基準審議会(IASB)によって設定されており、すでに2005年よりEU域内市場での統一基準として採用されているほか、日本と米国を除く主要各国で採用が決まっています。
日本でも、2009年度から「選択適用」が認められ、上場企業への適用が義務づけられるかどうかは2012年に最終判断され、早ければ2015年に「義務化」という方向性も示唆されました。
また、IFRSの適用は財務・会計だけでなく、経営戦略、経営管理、内部統制、海外事業、IT、人・組織、投資家との関係など、企業の多くの面に影響を与えるため、全社レベルで取り組む必要があります。それには、経営者が「IFRSは経営基盤構築には必須」というIFRS導入への強いコミットメントを示し、社員の意識切り替えを行うことが重要です。IFRSの推進は、全社的な意識改革と知識習得が必須であり、システム切り替えと並行して相当な時間とコストをかけることを経営者は認識しておく必要があります。

<IFRS導入のメリット>
今後日本においてIFRSが適用されるようになった場合、企業にとってのメリットは以下の3つがあります。
(1)資金調達コストの低減と資金調達の多様化
(2)同じ基準で意思決定や評価がしやすくなる
(3)経営管理基盤の標準化と浸透につながる
また、IFRSが適用され、財務情報がXBRL(eXtensible Business Reporting Language)データとして開示されると、企業の財務データを容易に加工・分析できるようになります。XBRLは、財務情報の開示だけではなく、企業の経営管理の向上、業務効率化、コスト削減にも役立てられます。XBRLはグローバル・レベルで標準化と普及が進みつつあります。IFRSに基づくXBRLデータ定義もすでにリリースされています。今後、米国や日本でもIFRSが適用されるとみられることから、XBRLとIFRSの組み合わせにより財務情報サプライチェーンのメリットを享受できる範囲が拡大していくと予想されます(XBRLについて詳しく知りたい方は、小著『通勤大学図解会計シリーズ4XBRL』をお読みください)。
 このように、IFRS適用は、単なる会計制度への対応にとどまらず、グローバル規模での「グループ経営管理基盤の構築」という観点で取り組むことが重要です。

<中小企業も無関係ではない>
 中小企業におけるIFRS適用の動向は現在のところ大きな動きはないものの、今後上場企業への適用が進む中、少なからず影響を受けることが想定されます。たとえば、上場企業のIFRS適用によって棚卸資産など資産の認識及び評価方法が変更されるなど、上場企業と取引するには予めIFRSの概念を導入しておくことが求められる可能性があります。中小企業に対するアカウンタビリティや、情報開示の要求もより強くなることも想定されます。
したがって、中小企業においてもIFRSの考え方を積極的に導入すべきであると言えます。IFRSが持つ経営情報の質を活かし、経営の効率性や収益性を見直すことを可能にし、さらにIFRSにおける業績指標やパフォーマンス数値を経営指標とおくことで、より適切な判断や評価をすることが可能となります。
<本書のねらい>
 本書は、IFRSに関する知識を短時間で一通り理解しておきたいビジネスマンや経営者、経営幹部、コンサルタントの方々を対象に、IFRSの基礎から日本基準との会計上の違い、IFRSが企業経営に与える影響、IFRS導入に伴うプロジェクトの進め方まで、言わばIFRSの入り口から実務までを、網羅的に理解しやすい内容を目指して執筆しました。本書が、IFRS導入の一助となれば幸いです。