- 近藤 壯一郎
- 台所計画工房 キッチンスペシャリスト
- 神奈川県
- リフォームコーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
「スプラッシュバック」とは、壁に沿って設置されたキッチンのワークトップの上の壁面のことを言います。
だから、アイランドキッチンにはありません。
日本語だと「(シンクで使う)水のはねよけ」という感じです。最近では「キッチンバック」という言い方もされますね。
ウォールキャビネット(吊戸棚)がある場合はワークトップと吊戸棚の間の壁面ということになります。
コンロとレンジフードの間もそうですが、この場合は、日本では別に「レンジバック」と言ったりします。
さて、この壁面、日本ではデザイン的にこだわることが少ないように感じます。大体、汚れにくくて掃除がしやすいからということで白っぽい無地のタイルなどで仕上げられることが多いのではないでしょうか。
あと、最近増えているのは「キッチンパネル」というもの。
これは、メラミンなどの樹脂をコーティングした不燃化粧板で、一枚のサイズが大きいので(90x240cmくらい)キッチンバックに張っても継ぎ目(目地)が少なくてすみ、掃除が楽だということで広まりました。
北米では、「スプラッシュバック Splashback」はキッチンデザインの重要なポイントの一つになっていて、使われる素材としてはやはりタイルが多いのですが、その色や柄、表面仕上げ、大きさ、貼り方など、様々なバリエーションのデザインが見られます。
周囲のアイテム(ワークトップ、キャビネット、床など)のカラーとコーディネートしたり、アクセントカラーに合わせたり、また、大きさの違うタイルを組み合わせたり、絵などが描かれたアートタイルを使ったり、ボーダーを入れたり、斜め貼りしたり。
タイルだけでもいろいろなデザインが可能だし、むしろ、それを生かさなければもったいないという発想です。
スプラッシュバックの素材としては他にも、天然石(グラニット)、レンガ、ステンレス、ガラス、コンクリートなどが使われますが、これらはみんな自然の素材かまたはその化合物で、日本のキッチンパネルのような人造の複合化学素材のものはあまり(ほとんど?)見られないし、使われません。
日本のキッチンではどうしても機能がデザインよりも優先される傾向にあるようです。
汚れがつきにくいとか、掃除がしやすいということばかりに目を向けるのではなくて、素材の風合いやデザインを楽しむことも大事だし、必要なことだと思います。
もう、いい加減にキッチンの壁には白っぽい無地のタイルかキッチンパネルというワンパターンから卒業してもいいのではないでしょうか。