
- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
長期優良住宅は、【性能表示制度】という、いわば住宅の通信簿のようなもので、ある一定の点数を取る必要があります。
性能表示には、下記の10分野(さらに細かく32項目)があり、うち、4分野が長期優良住宅で求められる点数が決められています。
1.構造の安定(主に耐震・台風等級)………1〜3 ''長期優良住宅では2以上''
2.火災時の安全(主に報知器や耐火等級)…1〜4
3.劣化の軽減…………………………………1〜3 ''長期優良住宅では3''
4.維持管理への配慮…………………………1〜3 ''長期優良住宅では3''
5.温熱環境……………………………………1〜4 ''長期優良住宅では4''
6.空気環境(化学物質制限や換気)…………1〜4
7.光・視環境(窓の大きさ等の検討)………表示のみ
8.音環境(主に共同住宅)……………………1〜5
9.高齢者等への配慮…………………………1〜5
10.防犯対策(開口部の侵入対策)…………表示のみ
この10分野以外にも、
・可変製のある間取りにしなさい
・バリアフリーですよ
・景観にも配慮
・必要最小限の面積は確保しようね
・維持管理の計画を立てましょう
・図面や点検・リフォームの履歴を保管すること
といった決まり事があります。
よっぽど変な間取りか、いい加減な工事をしない限り、特に普通の家と変わらない項目だったり、ひたすら書類を作ればいい項目もありますので、ネックとなるのは、
【耐震等級2】 と 【温熱環境4】
の二つ。
耐震等級については、等級1が建築基準法レベル、つまり最低限の耐震性で、これを守らないと違法建築。
そして、等級2は、この1.25倍の強度で、等級3は、1.5倍の強度です。
それなら、1.5倍と言わず、2倍でも3倍でもいいじゃん、
となりますが、等級3となると、
大きな吹き抜けや、
広々としたリビング、
開放的な大開口のサッシ、
こう言うのはほぼ無理です。
窓を出来るだけ小さくして、総二階で吹き抜けもない、こういう間取りだと、3が取りやすくなります。
ですので、現実的な等級2としたのでしょう。
次の温熱環境4は、省エネルギー対策、つまり断熱性とほぼ同義です。
等級1は、対策無しの住宅。
等級2は、旧金融公庫の融資基準となる、最低限の断熱材が求められるレベル
等級3は、省エネ一般型と呼ばれる、ちょっと気の効いた断熱材のレベル
等級4は、省エネ次世代型と呼ばれる、かなり気合いの入った断熱材のレベル
です。
ただし、世界的に見ると、この等級4よりはるかに上のレベルの断熱性を求めている国はヨーロッパ等に多く、日本でも、これからはグローバルスタンダードの断熱性が必要なんだ!
とこれらに取り組むトップランナー的な工務店も多いです。
ちなみに、温暖な静岡では等級4で十分かな、と言うのが私見です。
ざっとこんな具合です。
こう見ると、確かに今までのローコスト住宅とは一線を画す内容ですが、特別ハイグレードな、未来の家、と言う次元ではなく、まして、これら基準だけを守れば、いきなり住宅の寿命が200年になる内容でも決してないのは分かります。
では、本当に長期優良住宅ってどうなのか?
メリットは有るのか?
第4回に続きます。
ブログでは毎日現場風景をアップしておりますので、
【富士市】長期優良住宅先導モデルの家の現場風景も是非ご覧下さい。
鈴木克彦 『頑張れ四代目日記』 より
次世代パッシブソーラー【そよ風】システム
施工:株式会社マクス