死を意識しながら生きる - 対人力・コミュニケーションスキル - 専門家プロファイル

宮本 ゆかり
マイウェイネットワーク 
ビジネススキル講師

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死を意識しながら生きる

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夢を実現する力 うまくいく人の本質を学ぶ
以前、Yahooニュースに、女優の樹木希林さんの記事が掲載されていました。

タイトルは「死意識して対面を決意 夫婦の戦いにピリオド」。
普段、私はネットの記事は軽く読み流してしまうのですが、この記事だけは、保存して何度も読み返しました。

本来、自分が書いた文章以外を転載するのは信念に反するのですが、どうしてもこの記事だけは、樹木希林さんご自身の言葉を通して伝えたいので、下記に添付します。
    ↓↓

乳がんの手術を平成17年に受けた女優の樹木希林さん(66)。
「納得のいく死」を意識したとき、脳裏に浮かんだのは、ロック歌手の内田裕也さんのこと。
長年、別居していた夫と向き合おう。そう決意して対面したと語る樹木さんの目には、
力強いエネルギーが宿っていました。

乳がんの手術をする直前に内田裕也さんと向き合おうと思ったんです。
裕也さんは昭和56年に、私に無断で区役所に離婚届を出しました。
私が離婚無効の訴訟を起こし、裁判で争い、裁判官にまで「あんなに嫌がっているんだ
から、別れてあげなさいよ」なんて言われたことがあったんです(笑)。
裁判で離婚は無効になり、籍は戻ったけど、裕也さんと連絡を取るのは1年に1回だけ。
このまま裕也さんを恨んで死ぬのは悪いなと思って、ほったらかしにしていたことを謝ろう
と思ったの。

でも、男の人って、いろんな質(たち)があるけれど、別居している奥さんと面と向かって、
しっかり話をするというのは苦手なんじゃないかな。
まして夫なんて、カーッとして一生送っているという感じだから、2人だけでは話はできな
いと思ったの。

だから、知人に「謝りたいから、仲介して」とお願いして、食事の席を設けてもらったんです。
でも、夫は1時間ぐらい、次から次へと違う話をして核心には触れさせてくれなかった。

そのうち時間がなくなってきて、仲介者が時計を見始めたから「ちょっと私にしゃべらせて!」
「謝らせてくれ!」と怒鳴ったわけ。首根っこをつかまえて謝るっていう感じだったわね。
仲介者には「けんかごしで謝っている現場を初めて見た」と言われました(笑)。

そのとき、裕也さんは何も言わなくて、そのまま、さようならって別れたんだけど、その後、
別の知人が、飲食店で、ものすごく機嫌のいい裕也さんと会ったらしい。
夫は何かを承知したんでしょうね。

それから月に1度、裕也さんと会うようになって。長い夫婦の戦いは終わりました。
元気なうちは分かりあえなかったけれど、お互いに病気して、体力がなくなっちゃった
から通じあうようになったんだろうね。
私は15年に網膜剥離(はくり)になって、裕也さんも同じころに目の病気を経験して。
それから私が乳がんになって、お互いに“老老介護”が必要になったのね。

昨年の夏には「祇園祭に行ってみようか」「いいね」という話になって、一緒に宿泊した
んです。目が悪いと危ないから、いつも腕を握っていました。偶然、そうなっちゃったのよ。
熟年離婚なんて言葉も浸透してきちゃったけど、老いてから別れるのはもったいないわよ。

乳がんの手術後、毎年1月には、裕也さんと一緒にハワイで過ごすようにもなりました。
真珠湾では必ず手を合わせる。そこにも一緒に手をつないでいく。
毎年、これが最後だなあって思いながらいくわけよ。そんなに先が長いとは思えない。
その覚悟はあるから。

嫌な話になったとしても、顔だけは笑うようにしているのよ。
井戸のポンプでも、動かしていれば、そのうち水が出てくるでしょう。
同じように、面白くなくても、にっこり笑っていると、だんだんうれしい感情がわいてくる。

死に向けて行う作業は、お詫びですね。
謝るのはお金がかからないから、ケチな私にピッタリなのよ。
謝っちゃったら、すっきりするしね。
癌はありがたい病気よ。周囲の相手が自分と真剣に向き合ってくれますから。
ひょっとしたら、この人は来年はいないかもしれないと思ったら、その人との時間は大事
でしょう。そういう意味で、癌は面白いんですよね。
    ↑↑
ここまで。

最近、芸能人も一般人も、離婚話ばかりが多い中で、この話題にはほのぼのとした気持ちにさせられました。

「死に向けて行う作業はお詫び」そして、感謝ではないでしょうか。

大病をして悟られたこの境地を、大病をせずとも心に刻み付けていきたいなと思わされました。