
- 渡邉 松男
- 株式会社松岡建築設計事務所 代表取締役社長
- 建築家
対象:住宅設計・構造
そうやって細胞は増殖を繰り返していくそうだが、
最初のうちの細胞は『自分が何か?』分かっていないらしい。
そして、
誰からとも無く『僕は、骨の細胞に、じゃあ私は、臓器になるね。』
なんて、
互いの立場やタイミングを見計らって進化成長するらしい。
『動体均衡』といって『バラスト作用』を繰り返す。
賞賛は誘惑である、誘惑は進化のチャンスである。
二項対立、陰と陽・・・・そして、白と黒。
紀伊半島の東に『時間が止まった』みたいな建築がある。
『今まで』と『コレから』といった、
ちょうどその『中間点』を具現化したような建築がある。
もちろん、そこに佇む時の迫力は武者震いするほどのものだった。
東京タワーの近く、小さくは無い『教会』がある。
それは、『時』と『光』が混ざり合った精緻な空間だった。
胸が詰まるようなこの空気感、朝露のような華奢な空間だった。
それは嵐の陽だった、
東京・本郷にある国立大学に尊敬する先生の講義に参加した。
そして、ゴシックなデザインを継承し、
贅沢にもリファインされた『講堂』で受講した。
かなり古い学舎のタイルと、新しい素材が入り混じるその空間は、
『学ぶこと』を知的な『喜び』に変えていた。
加えて、とても大きなトップライトから入り込む光の粒子は、
アトリウムを宮殿に変えて、
ここで学ぶ人たちを『学びの信者』として際立たせていた。
更には、この大学における輝く歴史を
『賛美』しているようにも見える。
『新しいもの』と『古いもの』が出会うこの場所は、
繰り返しになるが
『礎』を足元にして展開する『研究活動』を
『賛美』しているように感じる。
サイクロイド曲線をもつこの美術館は、
『歓喜』と『静寂』の均衡を表現しているようだ。
アメリカ・フォートワースにあるこの建物は、
光を用いて『歓喜』を身近に感じさせ、
『静寂』な姿を優しく表現している。遺跡のようなこの建物は、
わたくしにとっての憧れの存在になる。
楽しい事はつらい事、簡単な事は難儀な事。暖かいところと寒い所。
形の無い物に陰影を与え、
見えない物を見えるようにする。輝く未来に向けてバラストする。
陰と陽・・・」、陰に従えば陽になる、陽に従えば陰になる。
二項対立、白と黒、バラスト、均衡と対応を考えるとき、美しい事柄、
そう、わたくしは常に
『仕事』のバランスを昇華させることに意識が向かう。