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尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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中国のゴミ問題

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経済成長とゴミ処理の問題



 産経新聞に中国におけるゴミ処理問題の記事が掲載されていました。
 都市のゴミ処理能力限界 中国、年10%の増加ペース

 中国は近年の経済発展に伴い、都市部を中心に毎日発生する生活ゴミの量が急増している。現在、約400の都市の毎日のゴミ発生量はその都市の処理能力を超えており、このままでは数年以内に多くの都市がゴミに包囲される可能性もあるという。国営中央テレビ(CCTV)が22日に伝えた。

 同テレビによると、北京市では現在、毎日発生する生活ゴミの量は約1万8400トンだが、市内の全16カ所のゴミ処理場でリサイクルや焼却などで無害処理できるのは1万300トンに過ぎない。残り約8000トンは埋め立てなどで簡単に処理されるものの、北京市周辺にはすでに埋める場所がなくなりつつある。また、全国のゴミ総量はここ数年連続して年10%のペースで増えており、現在は年間1.6億トンで世界ゴミ総量の3分の1を占める。しかし、無害処理できているのはその66%だという。

 ほとんどの都市のゴミの処理能力は限界に達している中、最近、地方政府が推進するゴミ処理場の建設計画は、地元住民の反対で難航するケースが広東省広州市をはじめ各地で相次いでいる。処理能力はゴミ増加のペースにますます追いつかなくなっているのが現状だ。「ゴミ問題は今、未曾有の状況となっている」とCCTVは結論付けている。


CCTVの報道が事実だとすると、年率10%の割合でゴミ発生量が増え続けているのは、非常に危険な状況です。

 大げさな表現ではなく、近いうちに、中国の都市部は処理しきれないゴミであふれかえる事態となるでしょう。

 この事態、日本にとっては決して他人事の話ではありません。

 現在、中国のゴミが日本の沿岸部に大量に漂着していますが、中国で処理しきれない廃棄物が大量に発生すると、日本に漂着するゴミの量も増大することは間違いありません。


 今まさに、中国は経済成長に伴う負の側面であるゴミ処理問題に直面しているわけですが、日本も35年以上前にこの問題に直面してきました。

 当時の日本は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を昭和45(1970)年に制定し、高度経済成長に伴うゴミ処理に対し、国を挙げて取組んできました。

 その過程で、「一般廃棄物は市町村が処理」、「産業廃棄物は排出事業者が処理」という原則を打ち立て、
 廃棄物処理業界を早急に育成し、相次ぐ不法投棄問題との戦いを続けてきました。

 おそらく、中国もこれから日本と同じような過程をたどりながら、ゴミ処理の問題解決を図っていくことになるはずです。

 日本における廃棄物問題解決の解としては、「焼却処分」が大きな存在を占めてきました。

 国土の広さや人口など、日本と中国では前提条件がまったく異なりますが、日本にとっては、中国に日本の廃棄物処理技術を売り込むチャンスと言えるかもしれません。

 
 上掲のCCTVの報道で少し気になったのは、
 全国のゴミ総量はここ数年連続して年10%のペースで増えており、現在は年間1.6億トンで世界ゴミ総量の3分の1を占める。

 という部分。
 
 現在日本だけでも、廃棄物は年間5億トン発生しています。
 一般廃棄物に限定して数えてみても、年間約1億トン発生しています。

 そのため、世界全体のゴミ発生量はもっと多いと思います。
 そうなると、中国が世界のゴミ発生量の3分の1を占めるという表現は間違いということになります。


 ただ、人口一人当たりのゴミ発生量を考えると、中国国民全員が日本の一般家庭並みにゴミを発生させだすと、現在の10倍程度まで廃棄物の発生量が増えるということになります!

 そうなる前に、天然資源が枯渇するかもしれませんが、廃棄物問題は世界規模で解決しなければならない時代に入ったようです。


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 著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」