その上に戦後の農薬や化学肥料の急速な普及によって、土壌が決定的な栄養不足に陥ってしまいました。土の基礎体力がなくなったのです。その結果ビタミンもミネラルも、軒並み50年前の5分の1から10分の1まで減少してしまったといいます。
従って、病気を予防するのに充分な量の栄養をまかなうには、毎日バケツ1杯もの野菜を食べなければならない計算になりますが、実際にはそれは無理な相談です。また仮に食べられたとしても、同時に残留農薬まで食べてしまうことにもなり、やはり問題があります。
また実際に社会生活を営む上で、健康の事ばかりを考えてもいられない、という事情があります。特に遅くまで仕事をしているビジネスマンが、毎日玄米を炊き、野菜を豊富に食べ続けるというのは、現実には難しいものがあります。
例えば会食やお茶会などで、お菓子や揚げ物など必ずしも健康的でない食品が出されたとしても、自分一人だけ食べない訳にはいかないものです。また出張などの昼食でコンビニ弁当や駅弁しか選択肢がない場合には、それは取り敢えず食べるしかありません。
また人間としての食の楽しみというものも必要です。人間は生物としての栄養補給の他に「食文化」というものを形成してきました。そこには必ずしも健康的ではない要素も含まれており、楽しみを仲間と分かち合うことも目的の一つです。
つまり現実には、できるだけ健康的な食事内容を目指すものの、人間としての食の楽しみや仲間との時間の共有、また仕事や私生活とのバランスというものも大切にし、その人のライフスタイルに適応した食生活というものを構築することが重要です・・(続く)
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このコラムの執筆専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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