しかし現状は、がんも糖尿病もうつ病も右肩上がりに増加する一方で、勢いが止まりません。がんは転移・再発し、糖尿病も高血圧も合併症が進行し、うつ病は薬が次第に効かなくなっていきます。病気の現象面だけを押さえつけても、根本的には良くなっていないのです。
一例を挙げると、ある著名な外科医は早期がん約1400例の手術症例を検討し、五年生存率が52%だったと発表しました。早期のがんは手術によって治る確率が高いとされる病気です。それにも関わらず約半数しか5年後に生存していなかったのです。
その予想外の生存率の低さは、がんの転移・再発、手術後の体力の低下などの要因があります。この外科医は単に手術して病巣を取り除くだけでなく、病気の原因となっている食生活などのライフスタイルを改善しなければ、治療したことにはならないと結論付けています。
日本の現状を見れば、食品添加物は世界一多量に使用されているだけでなく、環境の悪化、ストレスの増大、栄養過多、運動不足、睡眠不足など、生活習慣病が増加する要因が目白押しです。これらの要因は都市部だけでなく、近年は地方や農村部にも降りかかっています。
一方の米国を見ると、役10年前からがんと心臓病の死亡率が低下しています。日本ではいずれも一貫して上昇傾向にあるのと対照的です。10年以上前までは米国でも、がんや心臓病の蔓延に悩まされていました。この日米の差はどこから生じているのでしょうか・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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