- 村上 春奈
- 村上建築設計室
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
蓄熱や放熱の効果も狙い採用したコンクリート打放しは、石膏ボード下地に仕上げたものと違い、土壁のような重厚感が生まれ、それなりにいい仕上げだと思うのですが、一般的には「重い、冷たい、刑務所みたい」というイメージも付きまといがちです。
そこで「もみじの家」では、打放しをなるべく明るく暖かく感じられるように心がけました。
まずコンクリート面になるべく陰を落とさないために躯体の位置を調整し、壁や天井に合わせて開口部を設けました。そうすることで、光が壁や天井面をなめて室内を明るくし、室内から外へとつながる流れも遮断されないので、広がりも感じさせてくれます。(通常は窓の上に垂れ壁があって、天井全体が何となく暗いと思います。)
次に、コンクリート自体を硬く見せないため、型枠を部分的に杉板としました。コンクリートは型枠の性質を写し取る面白い材料なのですが、板材の型枠を用いることで、木目や木の赤味、木の柔らかさがコンクリートに移り、コンクリートでありながら木のような雰囲気に仕上がります。そのためフローリングや家具、建具に使った木部とも違和感なく馴染みます。
打放しとせず仕上げをする壁や天井面には、打放しの型枠と同じ寸法のシナ合板を用いました。また、造り付け家具の面材にもシナ合板を主に使ったため、空間を構成する全体の質感が調和し、コンクリート面が多いながらも木の暖かい雰囲気も漂う、落ち着いた空間に仕上がりました。
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