- 伊藤 弘輝
- 研修講師
対象:人材育成
参加表明をスカイチームの一連の動作と位置づけた。
その後、予想に違わず「寝取られまい!」と遅ればせながら同じ航空連合に属
するアメリカン航空(AA)も名乗りを上げた。その後ブリティッシュエアウェイズ
(BA)、カンタス航空(QF)などもアメリカン航空に同調すると、負けじとスカイチーム
側もエールフランス-KLM(AFKL)を伴いどうやらプログラムは航空連合の綱引き
大会に入ってしまったようだ・・・・。
アリタリア(AZ)の実質吸収など以前のコラムでも度々申し上げている通り、
スカイチームの世界戦略の設計図の完成度とワンワールドのそれを比較した
時にはあまりにも乖離があるように思われる。
加えて前述している各ナショナルフラッグキャリアー(国を代表する航空会社)
のなかでも財務状態に余裕があるのは明らかにスカイチームの方である。
ブリティッシュエアウェイズは又もや「手は上げるが金は出さん!」と言い放って
いるし、カンタスは数年前からLCC(ローコストキャリアー)のジェットスター(JQ)に
大きく路線を移管するなどの実情を踏まえると経営再建のメドの立たない
日本航空にとってはデルタ航空側(スカイチーム)についたほうが賢明であると
思われる。
とは言うものの「アライアンス(航空連合)」を離脱するには いわゆる
「手切れ金(ペナルティチャージ)」が発生する。それは約350億円程度とみられ
新たに加盟する場合の加盟金も同額程度と見ると凡そ700億円程度の当座、
生産性の無いお金を余分に用意することになる。運転に直結した資金が即刻
必要な日本航空にとってこのあたりは前原誠司新国土交通大臣の指示に順じ
経営再建計画が立てられ順当に融資が受けられるかどうかにかかってくるか
が重要だと推測する。しかしながら今までのように「やればイイ」という有識者
会議や労働意欲を失った社員ありきの計画ではなく利用旅客を中心とした
航空サービス業の基本に立ち返った計画に終始して欲しいと願うものである。
以上 【日航アライアンス離脱のペナルティは悩みどころ】・・・・
航空業界エキスパート 伊藤弘輝