「品格経営」商売繁盛ニュース Vol.13-1 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

牛田 雅志
ブレインリンク・コンサルティング株式会社 
税理士
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「品格経営」商売繁盛ニュース Vol.13-1

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商売繁盛ニュース
なぜ、財務分析ができても経営がよくならないのか?
IFRS時代の新しい財務分析指標
「CP(シーピー)指標」誕生秘話

忘れられない経営者Bさんからの質問

10年ほど前にご紹介いただいたBさんは、サービス業を営む若手経営者です。東京都内の一等地に店舗を構え小さいながらも大手企業と対等に競争できるブランドも構築されていました。その躍進の秘訣は、卓越した営業力で、誰にも真似できない営業スタイルを強みにされていました。

ただそのBさんにも弱点がありました。営業数字には滅法明るいのですが、会社の経理は全く野放図で、社員に任せっきりです。営業の話は饒舌に語りますが、会社の経営内容については「よくわからないのですよ〜」と借りてきた猫のごとく小さくなっていました。
そんなBさんに私はとても好感を持っていました。
その当時Bさんの会社は、大きな債務を抱え税金までも未納でした。結果として現金がいつも不足しているという「慢性金欠」状態に陥っていたのです。Bさんとしては、営業してお客様との成約が増加すれば、自然に会社の財務状況は改善されるはずだと思っていたと思います。

ある時、真顔でBさんは言いました。
「実は教えて欲しいことがあるのです・・・」
「僕は営業が得意です。そして、独自の営業指数を持っています。来店していただいたお客様のうち何人の方と成約できるかという『成約率』です。僕はこの成約率しか見ないですし、社員全員がこの成約率を高めるために何をすれば良いのかを日々努力改善し続けているのが、僕の会社の強みでもあるのです。でも、僕は経営が苦手です。決算書を見てもよく分かりません。でも、良く分かりたいのです。僕が営業の頼みにしている『成約率』のように、中小企業の経営者がこの指標をみていれば間違いないという簡単な『経営指標』はないのですか?僕はそれを目標に頑張ります。是非、それを僕に教えてください!」

質問された私は考え込んでしまいました。
「唯一の経営指標って言われても困ったな。そんな指標あるのかな。流動比率?営業利益率?あるいは自己資本比率?・・・。」
経営学で勉強した経営分析指標を思い出しますが、帯に短し襷に長しです。
「どれも一つだけでは満足できるものはない。一つの簡単な指標だけで経営が管理できることなんか出来ない!」
私はBさんの求める指標を見つけることができませんでした。でも、その見つけられなかったことを正直に伝えることも出来ませんでした。私は、Bさんの顔が直視できず、苦笑いしているのがやっとでした。

伝えられなかった答え

Bさんの会社は、営業を頑張ったものの、財務状況は改善されず、数年後資金繰りに詰まり廃業してしました。廃業や倒産は悲劇です。お客様の期待を裏切り、優秀なスタッフは力を発揮する場所を失いバラバラになります。Bさんは家族と離れ、私たちとも音信不通になってしまいました。
「もっと親身になって支援ができてたら・・・。」と今も後悔しています。
この10年間、Bさんから突きつけられた「社長が見る唯一の経営指標」という課題はずっと私の頭の中に残っていました。
もう二度とBさんの会社のように、羅針盤の積んでいない船を航海に出させてはいけない、経営努力の方向性を見誤る指導をしてはいけないと自戒しています。

では、中小企業の社長が見る唯一の指標はあるのか?

経営分析指標は50近くもあります。安全性・収益性・循環性という三つのカテゴリーに区分され、総合的に経営内容を判断するために利用されます。
私はずっとこれまで教科書通りの経営分析をしてきました。そして、その結果も生かし経営指導を行ってきました。でも、その指導がお客様にとって本当に理解され目標管理として効果があったのか、というと疑問視せざるを得ません。お題目だけの分析に終始していただけかもしれません。
Bさんの「もっと解りやすく簡単で計算しやすい指標はないの?」という懇願の声が聞こえてくるようです。
でも、どの経営分析書を見てもそのような都合の良い唯一の指標はありませんでした。

「なければ創るしかない!」
どこにもないのなら自分達で考えるしかないと思いました。

会社が廃業や倒産をせず永遠に成長・存続していくための指針となる指標。
簡単に計算でき、誰もが納得できる指標。
そして、自信をもって社長にお勧めできる指標。

これらすべてを満たす指標を探すため中小企業データー15000社分を5か月間掛けて調査しました。
中小企業白書、中小企業庁調査書、TKC全国会データーなど上場企業以外の入手可能な中小企業財務情報から仮説分析をした結果、成功し続ける会社とそうでない会社を見極める「たった一つの経営指標」を、とうとう見つけたのです。
この分析指標を私たちは「CP(シーピー)指標」と名付けました(商標権登録出願中)。