エコキュートのシャワーが弱い? - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

鈴木 克彦
株式会社マクス 代表取締役
建築家

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:住宅設計・構造

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

エコキュートのシャワーが弱い?

- good

  1. 住宅・不動産
  2. 住宅設計・構造
  3. 住宅設計・構造設計
住宅に関する最新情報 その他 設備類いろいろ

給湯器は、主に、灯油・ガス・エコキュートなどの電気、に大別されます。

都市部では灯油は少なく、新築の場合は最近では多くが、オール電化なのでエコキュートですが、これらをまとめて勉強すると、出湯圧力の意味が分かりますのでご紹介します。


まずは灯油タイプ。
灯油には、水道直結の直圧式と、減圧弁を利用して水道の圧力を一旦下げる''減圧式''が有ります。

一般に、
「給湯器の減圧タイプはリフォーム向き」
なのですが、まずはそこからご説明させていただきます。


まず、蛇口をひねると水が出てくるのは、水道に圧力がかかっているためです。

水道の圧力は、地域によって、圧が高い・低いが異なりますが、おおよそ3〜7キロと言われます。

正確に書かせていただきますと、3〜7kgf/cm²です。


蛇口を真上に伸びるパイプに繋いで開けた場合、10mの高さまで水が行く圧力
が100キロパスカル(100kPa)で、
1kgf/cm²=98.0665kPa
です。

私たちは物理学者ではないので、1キロ=100キロパスカルと言っています。


もともと、給湯器は灯油が多かったわけですが、ガス給湯器、いわゆる瞬間湯沸かし器が登場すると、とても重宝されました。

理由は、お湯の出、つまり出湯圧力が高いからです。

なぜガス給湯器の方が出湯圧力が高いかと言えば、
ガス給湯器は水道に直接結ぶ水道直圧式なのに対して、灯油のボイラーは貯湯式、
つまり、
タンクに一旦お湯を貯めてから出すために、
「減圧弁」
と呼ぶ装置で、水道の圧力(3〜7キロ)を、0.8キロまで落として給湯するのです。

減圧しないと、給湯器の貯湯タンクの強度を高めねばならず、ボイラーが高額になってしまうから、当初は減圧タイプしか有りませんでした。

 ※現在は、灯油のボイラーも高圧タイプ(1.7キロ)や、水道直圧タイプもあります。

 ※減圧タイプは、温度上昇で貯湯タンク内の水が膨張するため、それを逃がす
  オーバーフロー配管が有ることで、見た目でも区別出来ます。


さて、減圧タイプのボイラー(灯油ボイラー)の場合、0.8キロなら、冒頭の説明に戻りますと、地上8mの高さまでしかお湯が届きません。

(地上8mでは、蛇口をひねっても全くお湯が出ないということです)


二階のシャワーヘッドの高さは、地上4m以上ありますから、お湯が出ない程ではないにしても、どうにも物足りない…、
となるわけですね。


でも、灯油ボイラーでも直圧式があるなら、問題ないじゃない、
となるわけですが、実はそうでもなく、
リフォームの場合、今まで20年とか減圧タイプのボイラーを使ってきたお宅で、直圧式のボイラーに切り替えると、その圧力に耐えかねて、水道管(床下や壁内のお湯の配管)の継ぎ目などが破損して、水漏れ事故を起こすことがあるのです。

だから、
減圧式は、リフォーム向き、
となるわけですね。


実は、「エコキュート」も減圧しています。

エコキュートは深夜電力でタンク内の水を高温のお湯に換えます。

お湯を使った分だけ水が補充されるので、タンク内は常に満水、つまり空気は入っていません。

でも、水道の圧力そのままでタンク内のお湯を押し出しているわけではなく、灯油ボイラーの高圧タイプと同じ、1.7キロまで減圧しています。

やはり同様に、主にタンク強度の問題だそうです。


ですから、今まで、特にマンションなどにお住まいで、ガス給湯器を使っていた方が、新築でエコキュートに変えた場合、
「新築なのにシャワーの出が悪い!?」
と感じる方がいらっしゃいます。

このため、最近では、エコキュートも3キロの高圧タイプもデビューしています。
後からは変えられない部分ですので、二階にお風呂やキッチンがある場合は、よく調べておくことをお勧めします。



鈴木克彦 『頑張れ四代目日記』 より

このコラムに類似したコラム

暖房実験室・・2 杉浦 繁 - 建築家(2012/02/07 22:04)