住宅ローン破綻による競売が急増 - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:経営コンサルティング

寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月24日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

住宅ローン破綻による競売が急増

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 経営コンサルティング
  3. 経営戦略・事業ビジョン
雑感 業務その他
20日、不動産競売流通協会はプレスリリースを発表し、住宅ローン破綻
による競売案件が急増していることを発表しました。
その内容は以下の通りでした。(不動産競売流通協会HPより転載)
http://keibai.or.jp/release/20090820.html

住宅ローン破綻による競売物件が急増しています。
特に、自動車産業の落ち込みが激しい愛知県では、戸建住宅の競売件数が
約7倍に急増するなど、厳しい地域経済を反映した調査結果がでました。

不動産競売が増加している主な要因
1.バブル崩壊後の景気刺激策(住宅政策)の失敗
バブル崩壊後の日本では、景気対策の一貫として「10年間の固定金利型
住宅ローン」(ゆとりローン)を利用した住宅購入促進を、国の政策として
推し進めていきました。
その結果、国の住宅ローン減税や、金融機関の融資姿勢緩和により、
所得の低い人でも簡単に家が持てるようになりました。
1998年、そのゆとりローンの利用がピークを迎え、結果10年後の
2008年にゆとりローンの返済額が増加し、昨今の企業倒産や業績不振
から来る給料、賞与カットにより、多くの人が住宅ローン返済の破綻を
生じました。

2.不動産業者への金融機関による貸し渋り
これまでは通常、債務者の滞納が始まった場合、競売になるまでの間に、
不動産業者による任意売却が行なわれていました。
しかし、昨年のリーマンショック以降、金融機関の不動産業者に対する
融資の締め付けは厳しく、本来任意売却が行なわれていた物件が、
かなりの数そのまま競売で処理されるようになりました。

大きくこれら2つの要因により、現在競売が増加しており、また今後も
更に競売物件は、増えていくものと予測されます。



クライアントに競売を手広く展開している不動産業者がいる関係で、
競売には関心を持っていましたが、競売情報を見ていても、一般住宅が
随分増えてきたなあと感じてはいました。

ただ、給料の自然増や二世帯ローンを前提としているような返済計画が
甘いケースが多いことには懸念をしていたのですが、年功序列が崩れた
今のわが国の給与体系や、ボーナスを当てにした返済方法では、破綻する
のは当然かもしれない。

経営者の皆さんは税金の二重払い(所得税の支払いは当然として、法人税上の
経費にならないので、法人税も負担することになる)をしなければ、役員に
ボーナスを払えないことはご存知のことでしょうが、一般のサラリーマンは、
ボーナスも給与の一環で、利益分配によるものだとの認識がないんですよね。
だから、ローンの支払い方法もボーナス払いにしたがる。
しかし、ボーナスは利益が出たことによる利益分配に過ぎないのだから、
業績の悪い会社がボーナスを出さないのは至極当然の話なんですよね。

サラリーマンが、給与やボーナスを増やしたければ、自分で頑張って
働くことは最低限の前提ですが、利益を生み出せる社員になる必要がある
ということを見落としがちです。

どんなに一生懸命働いていても、売上に見合わない従業員であれば、
会社から見ればいらないんですよ。
売上を上げることに一生懸命で、値引きしてでも売上ノルマをクリアする
ことに汲々としている営業マンなんか最悪の人種なんですね。
売上が上がっても赤字を生み出す社員なら要らないってことを理解
していないから、転職市場で評価されないんですよね。
利益を生み続けている社員であれば、会社側は絶対に慰留するはずです。
形式的な慰留しかないのであれば、実質的には評価されていないのでしょう。

かなり身近なところでも競売案件が増えてきていますが、サラリーマン
家庭の競売案件は、定年退職後もローンを払い続けなければならないような
ローンの借り方であったり、ボーナスがあることを前提にした借り方に
原因があるように感じます。

確かに、会社の倒産、業績不振によるリストラ等によって収入の道が
途絶えてしまった方も多いでしょうが、寄らば大樹の陰を決め込んで、
人材としての能力開発を一切してこなかった方が多いのではないかと思います。
厳しい言い方かもしれませんが、年功序列に甘えて、実力を蓄えていなかった
から、リストラの対象になってしまったケースが多いのではないでしょうか。

真面目に働けばいい時代は終わった。
会社に貢献できるかどうかで評価される時代になったんですね。
工夫次第では、成り上がれる時代とも言えよう。

絶対的な答えなど存在しない激動の時代には、局面局面で対応を変えられる
柔軟性と、新しいことを取り込むだけの度量が必要なのかもしれません。

競売のニュースに、時代の厳しさを感じるとともに、若年層の能力開発の
一端を担う者として、一層の責任の重さを感じています。
気合を入れ直さねば。