きっと「イエス」と言ってもらえる - 対人力・コミュニケーションスキル - 専門家プロファイル

宮本 ゆかり
マイウェイネットワーク 
ビジネススキル講師

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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きっと「イエス」と言ってもらえる

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夢を実現する力 うまくいく人の本質を学ぶ
【きっと「イエス」と言ってもらえる】という本があります。
さわやかな涙を誘う真実の物語です。

主人公はビル・ポーターというアメリカ人男性〔1932年生まれ〕。
彼は生まれつき『脳性まひ』という障害を抱えながらも、ワトキンス社という生活雑貨を販売している会社で50年以上もトップセールスマンとしての実績を残しました。
体のある部分の骨が歪曲して絶え間ない痛みがあり、話してもおぼつかない言葉がようやく聞き取れる程度。
そんな彼の半生が、ある時、アメリカのニュース番組で紹介されたことがきっかけで、全米にその名が知れ渡り、多くの人々に勇気と感動を与えました。

●母の愛情

ビルが生まれた当時、医師からはすぐに脳性まひと診断され、通常の生活は望めないだろうから施設に入れたほうがいいと言われた。
しかし、ビルの母親であるアイリーンが、医師や友人や親戚のたび重なる忠告に対して、「ビルはわたしの子どもです。この手で育てます」そう告げて幼い息子を施設に入れることなく自分の手元で育てようと誓いを立てた。
当時は障害者に対する環境は整っておらず、世間でも差別と偏見の目が満ちていた。
「両親がこの世からいなくなってしまった後、この子はいったいどうやって生きていくのか?」そのことを考えた時に、母親は自立していける職業に就かせる必要があると考えた。
そこで息子に選ばせたのが、『セールス』という仕事だった。


●ビルのセールスは「どんな時も諦めずに継続する」

車が運転できないビルは、バスに乗って長時間かけて営業担当地区に向かう。
家々のドアからドアへ訪ね歩いて、ノックするかベルを鳴らして、返事を待つ。
ドライブウェイに車がないからといって、留守だと決めつけて素通りしたりはしない。
「訪ねてみなけりゃ、わからないじゃないか?車は修理に出しているのかもしれない」
おおかたの家ではなんの反応もないが、くじけずに歩き続ける。
やや前かがみになり、左手でブリーフケースの持ち手を握りしめ、右手を背中でかたく結んで。

ドアののぞき穴から、人間の目がビルの姿を確認する。
誰か家にいるのは確かだが、返事はない。
あるいは、閉じたドア越しに「ごめんなさい」「興味ないの」「寄付なら先月した」「何もいらないわ」「帰れ」という声が聞こえる。

何度断られようが、ビルは歩みを止めない。
いつか必ず、心やさしい誰かが家の中へ招き入れてくれるはずだ。
どういうわけか、数々の拒絶の言葉も、たった一つの注文ですべて帳消しになる。
ビルには心をしずめる呪文がある。
「次の家では、イエスと言ってくれる。次の家では、イエスと言ってくれる・・・」
この文句を繰り返しつつ、坂を一歩一歩登り、にこやかな顔で家々を訪問する。
たとえ先月「何度言えばわかるの?もう二度と来ないで!」と言われた家であっても訪れる。気持ちもあらたに、意気揚々と。
彼は信じているのだ。いつかはすべての家で「イエス」が聞けると。

数ヶ月、ときには数年に渡ってドアをノックし続けたある時、拒んでいた相手はビルを家の中に入れ、カタログに目を通すことを承知する。

次の言葉は、いかにビルがプラス思考の人間であるかを示している。
「あるブロックに10軒家があったら、ぼくは10軒とも訪ねる。
どの家の住人も、顧客になってくれる可能性がある。
10軒のうち8軒にノーと言われても、がっかりしない。
残りの2軒が買ってくれるわけだからね。
3ヶ月後に、またそのブロックに戻ってきたら、10軒の家を全部訪れる。前に買ってくれた家にしか行かないセールスマンもいるけど、ぼくは違う。実際、たくさんの人が買ってくれた。
ぼくは受け持ち区域の家のドアを、3カ月に一回、ひとつ残らずノックしてきた。
そして今、500軒以上のお得意さんをもっているんだ。
500人のお得意さんのうち40人は、何もいらないから二度と来るなと言った。それが今、一番のお客さんになっている」

雨が降ろうがかんかん照りになろうが、ビルは毎日欠かさず8時間、家々のドアをノックし続ける。

「ぼくには障害なんかない。やりたいことに固い決意で取り組めば、なんだって成し遂げられる」
子どもの頃、母がビルに聞かせたこの言葉は、今も彼の確信になっている。