中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第2回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第2回)

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中国における模造品と特許権に基づく権利行使 
〜改正専利法を踏まえた中国模造品対策シミュレーション〜(第2回) 
河野特許事務所 2009年7月13日 執筆者:弁理士 河野英仁


  目次
1.はじめに
2.戦略的権利取得
 (1)特許の種類
 (2)模造品に有効な権利
 (3)不正競争防止法
 (4)出願時における法改正点
3.模造品発見時の対応
 (1)情報収集
 (2)権利の有効性確認
 (3)調査会社による侵害実態調査
 (4)模造品の公証付き購入
 (5)訴訟提起前の証拠保全
 (6)警告または提訴
 (7)人民法院への提訴か,特許業務管理部門への処理請求か
4.訴訟の提起
 (1)提訴先
 (2)民事上の責任の追及
 (3)差し止め請求権
 (4)損害賠償請求権
 (5)改正専利法第65 条
 (6)時効経過後の実施について
5.被告の反論
 (1)無効の主張
 (2) 実用新型及び外観設計に基づく特許権侵害訴訟の中止
 (3)発明特許権侵害訴訟の中止
 (4)自由技術の抗弁
6.訴訟の審理と控訴
 (1)審理の内容
 (2)控訴
7.まとめ

1.はじめに
 「これ,ウチの新製品にそっくりじゃない?しかも,こっちの方が安いよ。」「別の中国の会社のWeb サイトにも,同じ模造品が販売されているようです。」
 苦労して開発した新製品を展示会に出展または販売して数ヶ月後,中国では模造品が現れる。現在ではほとんどの物がメイドインチャイナであるため,高精度な模造品を早期に作ることは容易である。ここで悩ましいのは,模造品を販売しているのは一般に小さな企業であり,販売数量も少量であること,また,いったん模造品が出回ると,多くの企業が同様に模造品の販売を開始する傾向が多いことである。中国が2001 年にWTO に加盟して以来,知的財産権の保護レベルは格段に向上したものの,依然として模造品が多い。日本企業としては,高度な技術について中国での発明特許権の取得を着実に進める一方で,このような模造品についても適切に対処する必要がある。
 本稿では,中国において模造品を発見した場合に,実務上どのような手続きで特許権に基づく訴訟手続きを進めていくかを,具体例を挙げつつ述べる。併せて2009 年10 月1 日施行の中華人民共和国改正専利法(1)(以下,改正専利法という。)について,模造品対策に関連する箇所に言及する。

(第3回に続く)

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