平成22年度予算編成の基本的考え方について - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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平成22年度予算編成の基本的考え方について

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税制改正 平成22年度税制改正
昨日6月3日は、平成22年度税制改革を占う上で、非常に重要な日でした。
午後に財務省において財政制度等審議会が開催され、
「平成22年度予算編成の基本的考え方について」が承認され、
これを受けて、夜には経済財政諮問会議が開催されたからです。
来るべき総選挙で政権が維持された場合には、こういう財政運営になるよ
という方針が固まったと言えるでしょう。

「平成22年度予算編成の基本的考え方について」は112ページにもなる
膨大なものですが、ポイントについては、経済財政諮問会議に
与謝野財務相が提出した資料にコンパクトにまとめられている。
与謝野財務相の提出資料の内容は以下のようなものである。

〔経済危機対策〕
○緊急避難的な一時的な措置と認識すべき。
効果の検証や、適切かつ効率的な執行が必要。
〔財政の持続可能性確保〕
○我が国財政は極めて危機的状況。
2011年度までのプライマリー・バランス黒字化の目標は、達成困難になったと
言わざるを得ない。
○政府においては、このような財政の状況を真正面から受け止め、財政の
持続可能性確保に向けた基本的な考え方を国民に示すべき。
その際、以下の4点に留意すべき。
・プライマリー・バランスの目標達成時期を先送りせざるを得ないのは、
それだけ財政が厳しくなったからであり、新たな決意を持って、財政再建に
取り組まなければならないこと。
・「基本方針2006」の基本的考え方の重要性はいささかも変わらず、むしろ
一層高まっていること。
財政の持続可能性を確保する上で、国・地方の債務残高対GDP比の安定的
引下げが必要不可欠。
そのためには、まずはプライマリー・バランスの黒字化の早期実現を図るべき。
さらに、利払費を含めた財政収支赤字の縮減を図っていく必要。
・持続可能な社会保障制度を構築し、中期的な財政責任を果たす観点から、
「中期プログラム」をしっかりと実行していくことが必要であること。
・「基本方針2006」で示された2011年度までの歳出改革に引き続き取り組む
ことが必要。
現在の経済情勢は依然として不透明であり、幅を持った財政運営を行わざるを
得ないが、景気回復を確認した後は、財政の持続可能性を回復すべく、
厳格な財政規律を確保していくことが必要。
〔平成22年度予算〕
○税収減等から公債依存度が大幅に上昇する見込み。
財政の持続可能性への信認を確保するためにも、経済状況にも対応しつつ、
「基本方針2006」の考え方を踏まえた歳出改革を維持していくことが必要。

以上のような総論の上で、各論として、
・高齢化の下での社会保障制度とその財源
・地方行財政の在り方
・大学予算
・中長期的な防衛力の整備
・農政改革
・地球環境問題
・国家公務員人件費
の問題が取り上げられている。


財政再建に関する問題意識として、我々が注視しなければならない点は、
「我が国においては、65歳以上の人口割合が20%を超えるなど世界的に
最も高齢化が進んでおり、平成24年度(2012年度)には600万人を超える
「団塊の世代」が年金受給者となり始めるなど、経済状況にかかわらず、
今後とも更に加速度的に進展することが見込まれる。
少子高齢化が急速に進む中で、社会保障の安定財源が確保されなければ、
ますます社会保障の財源を公債の発行、すなわち将来世代へのつけまわしに
依存することになりかねず、極めて近い将来、社会保障制度の持続可能性は
失われる。また、平成23年度(2011年度)以降、基礎年金の2分の1を
国庫で負担するための具体的財源は手当てされていない。
このため、一刻も早く社会保障の安定財源を確保していくことが極めて重要
である。財政健全化を図っていく上でも、上述した内容が盛り込まれている
「中期プログラム」をしっかりと実行していくことが不可欠である。「中期
プログラム」の取組の遅れは、現役世代から将来世代へ先送りする負担が
更に大きくなることを意味し、国民の将来に対する不安を助長することになる。」
(「平成22年度予算編成の基本的考え方について」7-8ページ)
という視点である。

私が学生にありがとうと言っている意味と同旨のものであり、現役世代の
負担の軽減または負担の受給がそのまま将来世代への負担を上乗せに
なっている現状を打破しなければ、将来世代における我が国財政の破綻は
火を見るより明らかである。
そもそも現役世代よりも人数の少ない将来世代が現役世代を抱えるだけでも
困難な状況が明らかであるのに、更にその上に先送りしてきた公債の
返済負担が上乗せされるのである。
これを何とかしなければ、外国に逃げ出せるほどの余裕のある富裕層から
日本国籍を捨てることになり、更なる財政の悪化を引き出しかねない。


また、3日の経済財政諮問会議は、この問題と併せて、石破農水相により
農政改革の方向性を打ち出すべく、検討が開始されている。

食の安全性の向上についての基本的考え方は「後始末より未然防止」。

従来の農業行政は問題が発生したときに事後的に対応してきたため、
食の安全を問題視されるような事件が多発したと考えられ、今後の展開は
生産段階から消費段階にわたって安全性の向上を図る方向性である。

ただ、農業所得と農業集落数がここ10年で大幅に縮んでおり、農業経営
自体が危機的な状況にあるのが現実である。
そこで、緑と水の環境技術革命として
・バイオマス新産業創造プロジェクト
・アグリ・ヘルス産業開拓プロジェクト
・未利用エネルギー活用プロジェクト
・耕作放棄地解消プロジェクト
・農山漁村IT活用総合化プロジェクト
・食品産業グリーンプロジェクト
が図られているところである。

我が国の第一次産業が活性化しなければ、食の安全性と食料自給率の確保は
難しい課題となるであろうし、我が国の将来設計のためにも、各種の政策が
機能してもらいたいものである。