いわゆる予防医療システムでは、自覚症状や生活習慣、検査データなどの情報を端末に入力することにより、ある程度自動的に、推奨される食事療法や補うべき栄養成分、必要な運動などが画面に表示されます。この場合それを採用するかどうかは、医師の判断と本人の選択によって最終決定されます。
つまり、一つには医師のプロとしての見解があります。プログラム上は「A」というサプリが推奨されたけれども、医師としての経験や個人的判断から、むしろ「B」というサプリを勧めることもあり得ます。また患者には好みやこだわりがあり、「C」というサプリを選ぶかも知れません。
判断の基準は多岐にわたり、究極的には患者が「どうなりたい」かに掛かっています。どういう健康状態を手に入れたいのか、医療者はそれをよく見極める必要があります。もしそれが患者の思い違いから、健康を阻害しかねない判断だった場合には、時として医療者は苦言を呈し、改めさせる必要があります。
場合によっては、それまで服用していた薬やサプリなどを中止・減量することも可能です。システムによって推奨される治療法が打ち出され、コーチングによって「あるべき姿」が明確になれば、要らない物、時には有害な物があぶり出される可能性があります。ということは治療費の節約や、副作用の軽減にもつながるのです。
患者の「自主性」を尊重することは、クリニック経営の生命線です。コーチング的アプローチによって、患者の自主性を尊重した診療を提供し、不足しがちな情報共有をITによって補うという経営形態は、これからの医療のあり方を変革するものとして、大いに普及すべきと考えます。
| コラム一覧 |
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
あなたの自然治癒力を引き出し心身の健康づくりをサポートします
病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
03-3277-3737