人間が病気になる原因として、遺伝、環境、生活習慣の3大要素があります。病気の種類によってこの比率は変わり、最近急増しているガンや心血管疾患などの「生活習慣病」に於いては、遺伝もさることながら、とりわけ後二者の関与が大きいとされています。
生活習慣病を予防したり発生率を低下させるための取り組みとしては、生活習慣の改善が盛んに強調されています。つまり食生活上の問題点を浮き彫りにして改善したり、適切な運動をしたりする、生活改善の試みです。これに関しては研究も進み、比較的普及しています。
一方で、住宅や職場の「環境」を改善する必要性は、これまではどちらかというと、あまり強調されてきませんでした。ところが悪い生活環境が続いている場合には、いくら生活習慣が改善されていても、病気になりやすい状況は続いてしまいます。
具体的には、例えばガンに罹患した患者が、病気の治療と並行して、ガンになりやすい生活習慣を改めたとします。すなわちタバコをやめる、野菜や果物の摂取を増やす、運動をして減量に努める、プラス志向を心がける・・など。
ところが、もし自宅の環境が劣悪だとしたらどうでしょうか。例えば、日当たりが悪い、通気が悪く湿気が強い、騒音がひどい、壁紙の埃が多い・・など。せっかく病気が良くなって、生活習慣が改まったとしても、自宅に戻れば、また病気になりやすい状態が始まるのです。
従って一度病気にかかった人は、自宅や職場の環境をも再点検すべきだといえます。本来住宅というのは、心身を癒す場であるはずなのに、病気を発生させてしまう場になってしまうのは、たいへん悲しいことです。職場も同様に、人間を不健康にしてしまう場であってはなりません。
体や心を蝕む劣悪な住環境は、意外なところにも潜んでいます。一例としてドライクリーニングした衣服があります。クリーニングの後にビニール袋をかけられた衣類からは、ダイオキシンが発生しているといわれます。従って、クリーニングした衣類を寝室に剥きだしのまま吊るしてある家庭では、ガンの発生が多いというデータがあります・・(続く)
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このコラムの執筆専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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