安心と活力を両立させる生活安全保障の確立に向けて - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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安心と活力を両立させる生活安全保障の確立に向けて

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税制改正 平成22年度税制改正
昨日の19日、約1ヶ月ぶりに経済財政諮問会議が開催された。
安心実現集中審議中にもかかわらず1ヶ月もの間開催が見送られていた
だけあって、提出された資料は膨大で多岐にわたっている。

今回の特長として挙げられるのは、外国高度人材受け入れ政策の本格化、
教育の充実(塩谷文科相)、少子化対策(小渕少子化相)といった政府提案
とともに、
有識者(岩田一政元日銀副総裁、張富士夫日本経団連副会長(トヨタ自動車)、
三村明夫日本経団連副会長(新日鉄)、吉川洋東京大学教授)による提案の
「「安心」と「活力」を両立させる生活安全保障の確立に向けて」
という提言が挙げられる。

この提言は
1.雇用を軸とした「安心保証政策群」の再構築
2.すまい・まちづくりに連動した「単身高齢者支援」
3.安心インフラとしての「安心保障番号・カード」の導入加速化
という3本の柱を軸にした提言である。

1.については、さらに4つの項目に分かれ、
(1)経済危機の荒波を最も受けている「非正規等の失業者」
(2)働けど働けど暮らしが楽に成らない「子育て・低所得の就業者」
(3)子育てと就業が両立しない「子育て家庭」
(4)「就学困難な高校生・大学生」
について、それぞれ具体策を提言している。

その具体策は
1.(1)経済危機の荒波を最も受けている「非正規等の失業者」
・雇用保険を受給していない離職者に対する、職業訓練中の生活支援給付
については、今後3年間の手当てを行うこととなっているが、こうした対応
(「雇用・生活保障セーフティネット」)の整備・改善について、財源の
あり方を含め今後検討する。
・業種ごとの職業能力評価と実践的な職業訓練支援の強化(ジョブカードの拡充等)

1.(2)働けど働けど暮らしが楽に成らない「子育て・低所得の就業者」
子育て・低所得就業者など、ターゲットを絞った負担軽減の仕組の検討
(税制抜本改革の中で検討することとなっている給付付き税額控除等を含む)

1.(3)子育てと就業が両立しない「子育て家庭」
育児休業の拡充(特にゼロ歳児育児のため)、保育サービス整備

1.(4)「就学困難な高校生・大学生」
親の所得の関係で就学困難なものの、勤勉な学生を支援する観点から、
授業料免除や奨学金制度の質的充実及び拡大

2.すまい・まちづくりに連動した「単身高齢者支援」
・今後高齢化が急激に進む都市部を中心とする介護施設・拠点の整備
・地域の人的資源を活用した日常生活・見守り支援充実
・高齢者の資産を活用した住み替え(リバースモーゲージ)

3.安心インフラとしての「安心保障番号・カード」の導入加速化
2011年度までの安心保障番号・カードの導入、これを活用した「利用者負担
総合キャップ制」導入の検討等利用者本位の取組を進める。

特に注目すべきは3.の「安心保障番号・カード」である。

昨日、ここでも書きましたが、リスクと隣り合わせの施策であるだけに
慎重を期す必要があろう。

有識者提案では、「社会保障には、医療・介護・年金等多くの分野があり、
各制度の運営主体も多数にのぼる。社会保障全体に横串を入れたきめ細やかな
制度設計を行うためには、「安心保障番号・カード」は必要不可欠なインフラ
である。早急な導入に向けて、国・地方、保険者・医療機関等の関係機関が
一体となって取組を加速化すべきである。さらに、税と社会保障を一体的に
設計し、「給付付き税額控除」などを効果的に導入できるよう、「安心保障番号・
カード」は拡張可能なものとすべきである。」としている。

確かに行政コストの削減と効率的な運営のためには、納税者番号制度や
今回の言い方では「安心保障番号」制度は不可欠な要素である。
しかし、これを導入することによるプライバシー権の侵害のリスクについて、
きちんとした議論がなされた上でのことである必要はあろう。

消えた年金問題も市町村が管理すべきであったのか、社会保険庁が管理すべき
であったのか、という所轄の問題もあるし、そもそもの問題は、保管されていて
しかるべきであった書類をすでに廃棄処分にしてしまっていたこの管理体制の
不備がそもそもの問題であろう。

社会保険庁の職員のモラルハザードの問題は年金未納問題で明らかにされていた
わけであったが、その時点で年金処理問題が明らかにならなかったことが、
今回の問題を大きくしている部分も多大にある。

国民に実態を隠し続けてきたからこそ、ここまで問題が大きくしてしまったのだ。

税金問題であれば、国民は取られる側なので、税務調査等に不備があり、
過去のデータが消えてしまっていたということになれば、死活問題である。

相続時精算課税が導入されたとき、私は税理士会支部と税務署との懇談会の
席上で、相続時精算課税の届出が出されているかどうか、提出した税理士から
切り替わった税理士は把握することが困難であり、「きんさんぎんさん」や
「泉重千代さん」レベルのケースでも確認することが税務署で出来るのか
確認したことがありました。
担当官には国税局に報告を上げた上で報告致しますとお答え頂きましたが、
その際、50年、100年は確認できないと困りますので、くれぐれも
お願いしますと追加で要請致しました。
その時の解答が支部に届いていたのか、私は確認しておりませんので
わかりませんが、少なくとも、税務署・国税庁であれば、そういう対応を
しているわけで、社会保険庁のような杜撰な管理体制はありえないでしょう。

社会保険庁と国税庁を統合し、徴収も税金化した方が効率的かつ確実な
徴収が図れると思うのですが、いかがなものでしょう。

「給付付き税額控除」制度を導入するとなれば、税と社会保険の一体化は
加速することになりますから、社会保険庁と国税庁の統合問題は必ず
行政改革の俎上に上るはずです。

社会保障費負担を含めた税制の抜本改革の議論はまだ始まったばかりですが、
これからの動向には注視する必要がありますね。