- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「そもそも地鎮祭や上棟しきってしなきゃ駄目?」
そんな疑問をお持ちの方も多いようです。
ちょうど仏式の地鎮祭(起工式)を行いましたので簡単にご説明を。
神式が、【地鎮祭】の字で見てとれるように、八百万の神々のうち、その土地の神々を鎮め厄を祓うのに対し、仏式は先祖代々に感謝する、と言う違いから、地鎮祭ではなく、【起工式】といいます。
ちなみに、私はやった事有りませんが、キリスト教で行う際も起工式と言うそうです。
でも、どの方式でも、工事の無事を祈り、そこに住む人の健康と安全を祈るのに代わりはありません。
式自体は、特別に変わっているわけではありません。
【同じ所】
・神式で「鍬入れの儀」という砂を崩すのもあります。
ちなみに、神式では、「エイヤァ〜!」の気合いの「エイ」と繁栄の「栄」
をかけて、「えいっ!」「えいっ!」と鍬を入れますが、
今回はそっと崩しただけでした。
・お酒や洗米やお塩を建物の四隅にまくのも同じでしたし、写真でお分かり
の通り、青竹や御幣もありました。
【違う所】
・玉串とか柏手もない代わり、お焼香がありました。
・気になるお寺さんへのお礼。
神式の場合は「初穂料」と書いて神主さんに渡しますが、仏式の場合は
「お布施」をお坊さんに渡します。
いずれにしましても、大切なのは一番大事なのは「気持ち」ではないでしょうか。
私は、自分の家を建てる際には、地鎮祭を行いませんでした。
自分でお酒をまいてお終い。
上棟式も無し。
でも、お客様に聞かれた際には、地鎮祭も上棟祝いもやった方が良いですよ、とお伝えしています。
誤解のない様に書かせていただくと、上棟祝いは、上棟の際に祝儀を出したり職人にお酒を振る舞ったりすべし、というのではありません。
今は、職人は作業の後にお酒を飲んだりしませんので。
(飲酒運転は絶対駄目!)
その意味ではなく、棟が上がり、有る程度現場が落ち着いたら、親や親戚などに見てもらい、同時に「お陰様で」と感謝の意を親や親戚に伝えるのが、大切な事だと思います。
職人には、現場を見て「ご苦労様」と労いの言葉をかけてあげるだけで十分。
この「ご苦労様」や「ありがとう」は魔法の言葉。
この言葉だけで、現場の人間はかなり頑張れるんですよ、不思議な事に。
それだけで十分ではと思います。
なので、会社としては「着工式」とか「竣工式」とか、紅白の垂れ幕に赤い絨毯で演出して…
みたいなのはやりません(笑)。
あれってお客様の立場でどうなんでしょう?
私なら、こっ恥ずかしくて嫌ですけど。
まして、その写真を営業のツールに利用する意図が作り手にあるので有れば、お客様を小馬鹿にしていると思いますね。
鈴木克彦 『頑張れ四代目日記』 より