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対象:企業法務
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〜均等論のFunctionと特許表示〜(第7回)
河野特許事務所 2009年6月30日
執筆者:弁理士 河野 英仁
Crown Packaging Tech., Inc., et al.,
v.
Rexam Beverage Can Co.,
6.コメント
均等論のFWRテストにおける機能について議論された案件であり参考となる事件である。本事件の如く、イ号製品が特許発明と同一の機能を発揮するが、特許発明が発揮する他の機能をイ号製品が発揮しない場合に、均等といえるか否かが問題となる。
本判決では複数の機能が存在する場合の均等の判断について明確な回答が示されていない。今後地裁での差し戻し審において、明確になるものと思われる。筆者は特許発明が発揮する複数の機能の内、最も重要な機能が、均等物において発揮する以上、他の機能の有無にかかわらず均等と判断すべきと考える。そうでなければ、キーとなる機能を同様に発揮しているにもかかわらず、些細な機能の相違を主張するだけで、均等侵害を回避することが可能となるからである。
損害賠償を制限する特許表示規定は日本に存在しないため、軽視しがちであるが、米国では損害賠償額が巨額であることから、米国特許法287条(a)の適用を巡り頻繁に争われている。米国特許法第287条(a)は本事件の争点に関連する事項に関し、なんら規定しておらず、判例を理解しておくことが重要となる。
実務上はあらゆる侵害形態を考慮して、方法クレーム及び装置クレームの他、記録媒体クレーム、システムクレーム等を記載する。本事件で判示された如く、複数のカテゴリーについてクレームしている場合でも、方法クレームに関して侵害が成立することを立証できれば、米国特許法第287条(a)の規定にかかわらず損害賠償が認められる。その意味でも、方法クレームを権利化しておく意義は大きいといえる。
判決 2009年3月17日
以上
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