会社案内・カタログを担当するにあたっては… - クリエイティブ制作全般 - 専門家プロファイル

木下 博
株式会社樋口事務所 
クリエイティブディレクター

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対象:クリエイティブ制作

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会社案内・カタログを担当するにあたっては…

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前回のコラムから随分時間が経ってしまいました。
コラムを書くとなると、構えてしまうためか、
何を題材にしようかと、書きたい物がありすぎて、
なかなか筆を持てない(正確にはPCに迎えない)というのが正直なこところです。

閑話休題。
やはり書かなければはじまらないので、書きます。

今回は、会社案内・カタログづくりがデーマです。


*なぜいまそのツールをつくりたいのか

これまで20年を超えるクリエイターとしての仕事の中で、
さまざまな会社案内や入社案内、カタログの制作に携わってきました。

そのなかで、私がいつも自分に問い、そしてクライアントに問うて来たのは、
「なぜいまそのツールをつくるのか」
ということです。
つまり、目的をはっきりと確認すること。
これは、極めてあたりまえのことなのですが、
ややもすると見失いがちです。

否、正確には(クライアントは)目的はわかっているのですが、
“どういうものをつくりたいのか”がわかって(見えて)いないケースが多々あります。

たとえば……
ある小さな住宅メーカーが、
会社案内をつくりたいというケースがありました。

その会社には以前から使用している会社案内がありました。
しかし、それはいわゆる「紋切り型」の、
大手住宅メーカーのよくある会社案内を真似た物で、
極端に言えば、社名を変えれば、他の会社でも使えるような物でした。
若い営業責任者と、設計担当者は、
その会社案内に疑問を抱いていました。
理由は、やはり上記と同じことを彼ら自身も感じていたからです。
“「これが、うちの会社案内でいいのだろうか」”
そう感じた彼らは、ある知り合いの会社を通じて、
私たちにご相談をしてくださいました。
“「うちならではの会社案内をつくりたいんだよな”
私たちは、彼らの思いを受け止め、ひとつの案を提案しました。
彼らも、最初はその案を気に入っていたようでした。
しかし、実際に施工例の撮影に入り、進めて行くうちに、
現場で立ち会っていた私たちの担当デザイナーから
“「○○さんは、何かちょっと違うと思っているようだよ」”という話を耳にしました。
私たちが考えていた物と彼らの描いていた物に、
微妙なズレがあったことに気付いたのは、その後のことです。

再び、何度もヒアリングをしました。
“そのクライアントらしさって何なんだろう”
私も、そして彼ら自身も再度考えて、
仕様・構成から検討し直して案を詰めました。

そして、でき上がったもの。
それにはお互い納得の行く物でした。

何がずれていたのでしょうか。
それは“「他のメーカーではなく、彼らに頼む意味」”がうまく表現されていないということでした。
彼らには、今回会社案内をつくる目的はわかっていたのですが、
“どういうものをつくりたいのか”が見えていなかったのです。

私は、以来、会社案内をつくるにあたっては、
それまでにも増して、目的と、その会社らしさにこだわるようになりました。