日経記事;『ホンダ・日産、統合協議打ち切り 統合比率折り合わず』に関する考察 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

ユーザー操作
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。
取材・講演・書籍執筆依頼のお問い合わせ

日経記事;『ホンダ・日産、統合協議打ち切り 統合比率折り合わず』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 事業再生と承継・M&A全般
経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。

 

2月5日付の日経新聞に、『ホンダ・日産、統合協議打ち切り 統合比率折り合わず』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『日産自動車は5日、ホンダとの経営統合に向けた基本合意書(MOU)を破棄する方針を固めた。持ち株会社方式で協議したが、統合比率などの条件が折り合わなかった。ホンダは日産の子会社化案も打診したものの、日産は社内で反発が起き協議の打ち切りを決めた。世界3位グループの誕生を目指した統合計画は、約1カ月で振り出しに戻る。。。』

 

私個人としては、ホンダと日産の経営統合の話題がマスコミに報道されたとき、この統合は上手くいかないとの印象をもちました。

その理由は、以下の通りです。

・ホンダと日産の売上比は、ホンダ2に対して日産1です。

・ホンダと日産の株価は、2月6日14時時点で、ホンダ1,440.0円、日産413.2円であり、大体ホンダ4に対して日産1です。

・ホンダの経営状況は安定していますが、日産は売上不振に直面している。など

 

上記状況を考えると、ホンダと日産の同等の位置付けで経営統合するのは、とても難しいと考えていました。

報道によると、ホンダが日産に子会社化を提案して、日産が断ったことになっています。このことは、両社が「Win/Win」の関係が維持できなくなったことを意味しています。

 

私は、今まで中小企業の事業連携(アライアンス)やM&Aを支援してきました。その経験から、中小企業同士の事業連携(アライアンス)やM&Aを実施する前提条件は、「Win/Win」の構築と維持になります。

企業同士の「Win/Win」とは、取引や協業など、企業間で何かしらの関係を持つ際に、関わるすべての企業が利益を得る状態を指します。

 

Win/Winの具体例は、以下の通りです。

●共同開発: 複数の企業が技術やノウハウを持ち寄り、新しい商品やサービスを開発する。各社はそれぞれの強みを活かし、単独では成し遂げられない成果を上げることができます。

●販売提携: 一方の企業が持つ販売網を、もう一方の企業が利用する。後者は自社商品の販路を拡大でき、前者は手数料収入を得られます。

●業務提携: それぞれの企業が得意分野を持ち寄り、互いの業務を補完し合う。経営資源を効率的に活用し、事業全体の効率化や拡大につながります。など

 

Win/Winの関係を築くためには、以下の点が重要です。

●お互いのニーズを理解する: 相手が何を求めているのか、どのような課題を抱えているのかを把握することが大切です。

●率直なコミュニケーション: 互いの考えや要望を率直に伝え、建設的な議論を行うことが必要です。

●長期的な視点: 目先の利益だけでなく、長期的な関係構築を意識することが重要です。

 

一般的に、中小企業経営者が高齢化して、事業承継する後継者不在で廃業する中小企業が増えています。

この状況下、政府は、中小企業の事業承継を確保する手段として、M&Aを積極的に支援しています。

企業同士のM&Aは、短期的に簡単に進みません。上記ホンダと日産の事例が示しています。

 

私が、中小企業からM&Aの相談を受けたとき、まず、行うのは当該企業の経営数字の確認と、過去に他社との事業連携(アライアンス)を行った経験の有無です。

 

経営数字から、当該企業の事業収益の規模、過去からの推移、キャッシュフロー、金融機関からの借入金、商品やサービスの強みなどを確認します。

経営状況が思わしくない企業には、緊急な場合を除いて、直ぐにM&Aを実施しないで、経営数字の改善努力を促します。

 

また、他社との事業連携(アライアンス)を経験していない中小企業に対しては、M&A実施の前に、当該事業連携の実施を勧めます。

私の経験則では、他社との事業連携(アライアンス)を行ったことがない中小企業のM&Aは、失敗するケースが多くなるからです。

 

中小企業は、自社の経営資源を活用してビジネスしています。他社との事業連携(アライアンス)を行うことは、お互いに、他社の経営資源を活用してビジネスすることになります。

 

他社との事業連携(アライアンス)は、上記Win/Winの関係を構築し維持できないと上手くいきません。アライアンスの維持更新は、双方の企業に一定規模の負荷とノウハウ蓄積などのメリットをもたらします。

 

私は、事業連携(アライアンス)を企業同士の恋愛状態に例えます。Win/Winの関係が終わるときは、恋愛状態の終結になるので、企業はアライアンスを中止する(別れる)ことになります。

一般的には、事業連携(アライアンス)の中止は、双方の企業に大きな痛手を与えません。

もちろん、アライアンスの中止を前提に、双方の企業は上手に覚書などの契約を結び必要はあります。

 

しかし、いきなり中小企業が事業連携(アライアンス)の経験なしに、M&Aを行うことは、企業文化や経営組織体などが直接的に一体化することであり、双方に大きな痛手を与える可能性があります。

現に、私はそのような事例を複数回見てきました。

 

今後、M&Aを経営力強化の手段として考えている中小企業は、先ずは、他社との事業連携(アライアンス)を組んでビジネスを行う経験を積むことをお勧めします。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

事業収益拡大のための行動計画立案・実行とビジネススキル向上

新規事業立上や海外販路開拓・集客などの事業拡大を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーでの経験を活かし、アライアンス、市場調査・分析に基づいた行動計画や事業計画の作成・実行を支援します。ビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム

アジア展開を行う上でのM&A/アライアンスの手段選択に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2010/07/02 05:41)

GEの新規事業拡大策としてのM&A手法に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2010/06/30 07:27)

経済産業省「中小M&Aガイドライン」策定・公開に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2020/04/01 11:23)

【売り案件】調剤薬局 大黒たかのり - 税理士(2020/03/19 15:12)