えいがのはなし（１５）　ビバ・マエストロ　指揮者ドゥダメルの挑戦

すべての花が刈られようとも、春は必ずやってくる　ー

　2022年製作、アメリカのドキュメンタリー映画。日本では2024年10月4日より、全国順次公開。

　現在、ベネズエラ国内は混乱した状態にあり、政府に対して大規模な抗議デモが行われるなど政情が不安定になっています。

　　　デモクラシータイムス：ベネズエラ大統領選挙（シリーズ「あなたに知ってほしいラテンアメリカ」より）

 　     ベネズエラ大統領選挙【あなたに知ってほしいラテンアメリカ】伊高浩昭×高瀬毅

そのため、「エル・システマ」という優れた音楽教育プログラムが停止してしまいました。

　　　エル・システマ  エル・システマ - Wikipedia

　　　エル・システマジャパン  一般社団法人エル・システマジャパン | 子どもオーケストラ

　グスターボ・ドゥダメルは今、世界で最も注目されている若手指揮者です。

1981年1月26日にベネズエラに生まれたドゥダメルはエル・システマで音楽教育を受け、颯爽と世界に羽ばたきました。

2009年からロサンゼルスフィルの音楽監督になり、2026年からはニューヨークフィルの音楽監督の就任が決定しています。

このような実績のある人物がマドゥロ政権について自身の考えを述べたことで祖国へ入国できなくなり、ベネズエラの子供たちのオーケストラを指揮することもできなくなってしまいました。

　この映画はドゥダメルとベネズエラのシモン・ボリバル・オーケストラの海外演奏旅行のドキュメント映画を作るために撮影されていたのですが、2017年の国内の政治的混迷によって製作の方針を大きく変えざるをえなくなりました。

ですが逆に、このことが政治と音楽、生活と音楽、社会と芸術など、事象を多面的に見ることができる作品に仕上がったと思います。

　映画の中には数多くのオーケストラの曲がちりばめられています。ワーグナー作曲「楽劇『ローエングリン』より第一幕の前奏曲」が流れた場面が印象に残っています。

　私が見た上田映劇では上映が終了してしまいましたが、長野県内では長野相生座ロキシー、塩尻東座で12月から上映開始、その他全国で上映されています。

　映画「ビバ・マエストロ!　指揮者ドゥダメルの挑戦」公式サイト  映画『ビバ・マエストロ！指揮者ドゥダメルの挑戦』