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原子力発電の小型化が進行中、マイクロ炉で勝負する日本勢

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原子力発電所というと、日本では沿岸部にある巨大な発電所が鎮座している風景を想像するかと思います。事故を起こしてしまった福島第一原発もそうですし、それ以外の稼働している原発も然りです。こういう施設ばかりを見ていると原発は大きいものというイメージを抱きがちですが、近年では原発が小型化する潮流が起きています。しかもそれが環境ビジネスとして存在感を増している現実があります。

原発はそもそも、小型化しやすい構造になっています。規模を大きくしたほうが効率が良いくなるので世界各地の原発は巨大ですが、そのミニ版を作ることはそれほど難しくありません。そして現在、小型原発が続々と開発されて世界各地で導入が進んでいます。

原発を小型化する大きなメリットは、2つあります。

1つは、送電ロスの軽減。発電所から電気を消費地まで送るには送電線を通っていく必要があるわけですが、この送電時に多くの電力が失われてしまいます。これを、送電ロスといいます。本来電力は発電地と消費地が同じもしくは近いことが理想で、そうすることによって送電ロスを抑え、より有効にエネルギーを利用することができます。
私が太陽光発電の普及を促進する理由のひとつにも、この送電ロス問題があります。大規模な発電所から莫大な電力を送って消費するというモデルだと送電ロスが大きく、今後さらに電力の需要が増していくことが確実な社会のニーズに応えられなくなるのは必至です。太陽光発電は発電地と消費地を同じにしやすいので送電ロスがほとんどないことも、大きなメリットなのです。

話を小型原発に戻しましょう。原発も本来、このように発電地と消費地が同じであれば送電ロスが少なく、多くの人が「危険なエネルギー」とする原子力を少しでも有効に使うことができます。

もう1つのメリットは、可搬性です。可搬性とは「運びやすさ」といった意味合いで、小型であればへき地や離島など発電所を作りにくい場所であっても電源を確保しやすくなります。事実、小型原発の多くはこうした場所で先行して普及が進んでいます。 
さて、そんな小型原発の中でも最小クラスといえるマイクロ炉を日本の三菱電機が開発し、世界の市場に挑んでいます。原子炉の大きさは直径1メートル、長さ2メートルということで、何と「トラックで運べる原子力発電所」です。三菱電機によると原子炉の寿命は25年を想定し、その間は燃料の交換も不要とのことです。トラックで運べる程度の大きな電池を置いておけば、25年間電力を供給してくれるというイメージでしょうか。これなら離島の多い日本では離島での電力供給に大きな威力を発揮するのではないでしょうか。

現在は近い本島から海底ケーブルで電力を供給しているパターンが多く、これだと送電網の維持費や送電ロスが大きく、非効率的です。その一方で離島やへき地は電力消費量が少ないので電力会社としては赤字エリアになってしまいます。そんな場所で電源の自立ができれば、都市部に住む人たちの電気料金削減にもなるかもしれません。
こうした小型原子力発電と太陽光発電をうまく補完し合える仕組みを構築すれば、日本だけでなく世各各地で独立的な電力供給システムができあがり、停電のリスク削減にも寄与します。 

こうした潮流は世界的に進んでおり、今後は主要国同士での競争も激しくなっていくでしょう。日本もこうした流れに後れをとることなく、しっかりとニーズに応えるシステムを開発していってほしいと思います。

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