
- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
対象:クリエイティブ制作
- 赤坂 卓哉
- (クリエイティブディレクター)
- 赤坂 卓哉
- (クリエイティブディレクター)
文章にリズムを付ける方法(1)
「ですます調」と「である調」のどちらがいいか?
ビジネス文章を書く際、よく質問を受けるのが「『ですます調』と『である調』のどちらがいいか?」というものです。
結論から言うと、これはどちらでもかまいません。
手紙文などは「ですます調」のほうがふさわしいと言えますが、社内文書や企画書などは、基本的に自分が書きやすいほうで書くとよいでしょう。
<例文:である調>
ビジネスにおいて新規顧客の開拓は不可欠である。特に起業の際、新規事業、ベンチャー企業では重要事項だ。
しかし、一方でリピーターの確保も忘れることはできない。
わが社ではリピーター率10%と、競合他社平均値32%に比べると極端に低いのだ現状である。そのため、今期の目標としてリピーター率25%を掲げ、達成するために以下のことを実行する。
<例文:ですます調>
ビジネスにおいて新規顧客の開拓は不可欠です。起業の際はもちろんですが、新規事業、ベンチャー企業でも特に重要です。
しかし、一方でリピーターの確保も忘れてはならないことです。
わが社ではリピーター率が10%と、競合他社の平均値32%に比べると、極端に低い現状があります。そのため、今期の目標としてリピーター率25%を掲げ、達成するために以下のことを実行します。
いかがでしょうか。
自分で実際に書いてみて、書きやすいほうを選んでください。
まだ文章を書き慣れていないうちは、自分のスタイルを固定することをオススメします。
たとえば「ですます調」を選んだ場合、「ですます調」でしばらくは続けることです。
文体で悩んで筆が進まないのは本末転倒です。
本来、文章は内容を重視するものですから、慣れた書き方で書くほうがよいと言えます。
上記の文章を読んで、「ですます調」のほうが自分は書きやすいし、読みやすいと感じた人も多いかもしれません。
しかし、「ですます調」にも注意すべき点があります。
それは、リズムが付けづらいということです。
もう一度、上記の例文2つを読み比べてください。
音読すると違いがわかるかもしれません。
「である調」は堅い印象がありますが、わりあいトントンと進むのに対して、「ですます調」はまどろっこしい感じがするはずです。
これは、「ですます調」は、文末が単調になりやすいという特徴があるからです。
文章にはリズムが必要です。読みやすい文章はリズム感にあふれています。
そのリズム感を作り出す大きな要因は文末です。文末が単調になりやすい「ですます調」では、リズムを付けづらいと言えるのです。
この問題の解決策は、意図的に文末を変えることです。
たとえば、次のような手法があります。
・文末が「です」「ます」のどちらか一方を連続させない。続いても最大3回まで。
・「現在形」「過去形」を意図的に散りばめる
それでは、この手法を使って、先ほどの例文をリライトしてみましょう。
<例文:ですます調>
ビジネスにおいて新規顧客の開拓は不可欠です。起業の際はもちろんですが、新規事業、ベンチャー企業でも特に重要されます。
しかし、一方でリピーターの確保も忘れてはなりません。
わが社ではリピーター率が10%と、競合他社の平均値32%に比べると、極端に低い現状がありました。そのため、今期の目標としてリピーター率25%を掲げ、達成するために以下のことを実行します。
いかがでしょうか。だいぶんテンポよく読めるようになったと思います。
テンポのよい文章は、先へ、先へと読ませます。読む人を辛くさせないので、内容もすんなり理解されやすいものです。
「ですます調」で書かれる際には、文末にちょっと気をつけてみてください。
次回は、「文章にリズム感を養う方法」について紹介します。
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