- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ネットを通して業者と知り合うこともごく普通になりましたし、
最新設備や商品・工法を知ることも、昔は専門誌でしか知り得なかったことが一般の方でも簡単に手にはいるようになりましたし、
分からないこと、不安に思うことは、簡単にネットで検索できます。
ただし、ネットが全てではない、と言うことは絶対に忘れてはいけないことだと思います。
家造りの様々な疑問、些細なことから深刻なトラブルまで、多種多様な質問がされ、専門家や家造り経験者や一般の人が入り交じってそれに回答を寄せています。
パソコンソフトのトラブルの解決などには、私も良くQ&Aを検索して随分助かっていますし、何かを購入する際には、口コミ情報を調べるのも、今や当たり前の時代です。
ただ、気になるのは、何か疑問に思った時、それを担当者や依頼している会社に質問せず、いきなりネットに答を求めようとする人が多いように感じます。
私は、これは、有る意味とても危険だと思っています。
このオールアバウトプロファイルでも、その様な質問が多く、私は改善を求めておりますが、質問自体が悪いのではなく、ネットの回答が常に正しいわけではないということを、しっかり説明した上で私見を述べるのがプロとして責任有る姿勢だと思うのです。
その現場毎の環境条件・予算条件、今までの打合せの経緯、そういったことを全く無視して(故意にではなく知らずにという意味)、責任のない第三者がするコメントを全てだと思いこむのは、やはりやめた方が良いと思います。
最近は、家造りをブログに書きとめる方も多いです。
一生の記念にとても良い事だと思います。
でも、ここでもやはり、写真付きで
「こんな工事って良いのだろうか?」
「欠陥じゃないだろうか?」
「皆さんどう思います?」
っていうブログも目にとまります。
やはり、まずは担当者に聞いてみる、納得するまで話してみる、それでも不信感がつのるようならネットで公開してでも戦う、ってのが本当だと思うのですが。
例えば良くある、基礎のヘアークラックで検索してみると、
「基礎に小さなヒビが■ヶ所有るのですが大丈夫でしょうか?」
と言う質問に対し、
「構造クラックの危険があります」とか、
「業者の養生不足は否めないでしょう」とか、
現場見もしないで分かるの?
と思うわけです。
でも、質問した人は絶対に、建設中の会社に不信感持ちますよね。
それは不幸なことだと思いませか?
人がやる事だから、完璧な仕事を目指してはいても、失敗なんてあり得ない、と言うのは誇大広告以外の何物でもありません。
欠陥に繋がるような大掛かりなのは話は別ですけど、小さなミスは、素直に謝って、失敗する前の状態にやり直すことです。
それが信頼関係だと思います。
その信頼関係を築けなかったら、
施主は手抜きされないか目を光らせている、
業者は文句言われないようにさっさとこの現場を終わらせて出て行きたい、
これでは、一緒になってより良いものを造ろう!
何て事は不可能です。
鈴木克彦 『頑張れ四代目日記』 より加筆・転載