- 近藤 壯一郎
- 台所計画工房 キッチンスペシャリスト
- 神奈川県
- リフォームコーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
たしかに、海外の映画やTVドラマやインテリア雑誌などに登場する広くてゴージャスなアメリカのキッチンはすばらしいし、ドイツやイタリアのキッチンもため息が出るくらい美しい。
私もキッチン作りのプロとしてそのようなキッチンをデザインしたいと思っている。
ところが、実際には残念ながら「そんなの日本の家では無理だよなぁ」ということになってしまうことが多い。
日本の平均的なキッチンの広さは6畳間、すなわち長手と短手が2間(3640mm)x1.5間(2730mm)という約10平米ほどのスペースだと思うが、アメリカでは150平方フィート=約14平米(9畳弱)以下は「Small Kitchen」と呼ばれている。
ということは、日本のキッチンの大多数が「Small Kitchen」だと言っても過言ではないのではないか。
だとすれば今の日本の住居には大きな、広いキッチンなど望むべくもないかもしれない。
事実、日本のキッチンメーカーはその「小さな」キッチンにぴったり合うような「システムキッチン」という完成品のセットキッチンを創り出し、市場もエンドユーザーもそれを大歓迎してきた。
そして今日のその隆盛はご承知の通りである。
しかし、だからといってキッチンに、そのサイズに合わせた、どれも同じような仕様のメーカー製「システムキッチン」を入れるしか選択肢がないとすればそれはとても不幸なことだと思う。
「小さな」キッチンにこそ「大きな」可能性があるのではないだろうか。
コンパクトなキッチンは無駄な動きが少なくて済むので実に機能的である。
そこに完成品のセットキッチンをただ設置するだけではその可能性を十分に引き出せない。
キッチンとは、「製品、商品」のことをいうのではなく、家族のためにクッキングをする「場所」のこと。
その場所には、クッキングするためのいろいろな部品を自由に並べて、好きなように使いやすいキッチン装備を造ることができるのである。
次回からはスモールキッチン、コンパクトキッチンの大きな可能性を具体的に示していきたいと思う。