実施中?の規制改革(1) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:企業法務

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
尾上 雅典
(行政書士)

閲覧数順 2024年04月17日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

実施中?の規制改革(1)

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 企業法務
  3. 企業法務全般
法令改正 規制改革推進のための3カ年計画

拡大生産者責任等の推進




 規制改革推進3か年計画措置事項から抜粋

 廃棄物の発生の抑制、リサイクルしやすい製品の生産等に係る拡大生産者責任につき、従来導入されていなかった分野について導入を図るとともに、既に導入されている分野については、その強化を図ることを検討し、所要の措置を講ずる。
 また、デポジット制の導入及び3Rの促進に関する規格や基準(環境JIS、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)の情報提供措置等)の早急な拡大についても検討し、所要の措置を講ずる。



 このテーマは、単なる規制改革という次元に止まらず、日本の社会や産業のあり方を決定する重要なものです。

 そのため、本来なら、法律の制定改廃を含めて、国会で激論を戦わせてもよいくらいの重要なテーマなのですが、今のところは、まだ国会での検討の俎上に上がっておりません。


 なぜ、それほど重要なテーマと申し上げたかを説明すると
 
 現代社会は、「大量生産、大量消費、大量廃棄」を前提とした制度設計がされていますが、100年後も同じような生活を続けられるかどうかは誰もが疑問を持っているところです。

 少なくとも、国土が狭い日本においては、大量生産と大量消費までは良いとして、「大量廃棄」を継続するのは年々難しくなっていくでしょう。


 その理由を端的に説明する事実として

 日本における産業廃棄物最終処分場の残存年数(ゴミを埋め続けられる年数)は、環境省の試算によると、7.7年でした。

 このまま産業廃棄物を処分場に埋め続ければ、あと7.7年で埋める場所が無くなるという試算です。

 ただ、最終処分される廃棄物は年々減少していますし、リサイクル技術の進展や市場の拡大などもあり、きっかり8年後に処分場が満杯になるということはなさそうですが、10年後、20年後を考えると、今のうちに手を打っておくことが必要となります。


 大量廃棄を継続できない以上、「廃棄物の発生抑制をする」か「廃棄物を有効に再利用する」しかないわけですが
 
 今までの社会制度は「大量生産」を前提としていたため、「廃棄しやすくするための設計」や「使える部品を取り外しやすくする」などの配慮が、ほとんどなされていなかったのが現実です。


 今後は、「自動車」や「TV」などの各種リサイクル法の対象製品のみならず、社会から、あらゆる製品の製造事業者に対して、「拡大生産者責任」を果たすことを求める声が強くなるのは必至です。

 
 一見すると、拡大生産者責任の徹底は、製造事業者にとっては負担が増すだけのように見えますが、この流れをビジネスのきっかけにすることも可能です。

 例えば
 新製品を世に打ち出す場合は、従来製品とは違う付加価値を打ち出すことが有効ですが

 「ゴミとして捨てる部分が少ない商品です」とか
 「部品のほとんどは再利用可能な商品です」といった

 従来なら見向きもされなかったような、新しい打ち出し方が可能になります。


 日本の製造事業者の皆様へ

 法律の制定改廃のスピードに足並みを揃えるのではなく、イノベーター(革新者)として、社会制度の変革に一石を投じていただきたいと思います。

 
※執筆者:尾上雅典 産業廃棄物許可コンサルティングセンター