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東京の世田谷区成城で起きた土砂崩れのその後は??

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東京の世田谷区成城で起きた土砂崩れのその後

マスコミ等の報道で世田谷区成城の土砂崩れのはその後どうなっているのだろうか?

現在、世田谷区から避難指示が出ている方は7世帯。

崩落の可能性があるため、区から避難の指示が出されているが、この避難指示の解除はいつになるのだろうか。区によれば「安全が確認できれば解除する」旨の話のようだ。


区の言う安全の確認は誰が行うのかと考えてみると、区で安全確認すると思うのが一般的だろう。しかしながら、区ではそうした明言は避けている様子。

区としてはあくまでも民間の建築会社の施工が悪いためにこうした事故が起きたとの認識が強く、行政庁の責任回避が見え隠れする。


この場所での建築確認の許認可は第三者機関への申請のため、区としては正確には掌握しておらず近隣住民らが相談に行っても話にならないようだ。


こうした行政庁の対応には疑問が残る。

区が言うには解体工事は区に届出は不要、建築確認も第三者機関の認可、だから責任はないと…

現状では審査も許可も指導もできないとことらしい。

参考までに行政庁における建築確認の責任について。

「指定確認検査機関の事務は市が責任を負う」と最高裁が決定 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)


また、この該当地にはコーポラティブハウスの建築が予定されている。

コーポラティブハウスは特徴的なものであるが、簡単に言ってしまえばマンションの注文住宅版と言える。

コーポラティブハウスは住宅取得を希望する人たちが建設組合をつくって事業主となり、建築会社への工事発注をするわけだが、こうした場合、コーポラティブハウスをプロデュースする会社が音頭取りをしているケースが多い。


コーポラティブハウスの完成までにはこの組合による打ち合わせ等があり、一度、組合員として計画に参加することになると、なかなか途中でキャンセルすることは難しい。万一、何らかの理由でキャンセルするとなれば、違約金の発生や新たに組合員を探すことになり、時間をかなり要すことになる。

今回のような事案が起きてしまうと、本当にコーポラティブハウスを建築して大丈夫なのかという不安材料は残る。


コーポラティブハウスをプロデュースする会社としては、土地を安価で仕入れている可能性が高い。というのも、この当該地は数回転売を繰り返している。

何度も転売される理由には土地活用がしにくい、立地上、建築物が立てにくく、コストがかかりすぎるなどの理由が考えられる。


さて、今後の工事はどうなるのだろうか。

聞くところによれば、工事の説明会を行う予定だそうだが未だに説明会はいつか目途が立っていないようだ。


東京の世田谷区成城で起きた土砂崩れの原因は何か?

東京23区ほど、がけや谷が多い地域はない

先日、東京の世田谷区成城で土砂崩れのニュースが報道された。

映像を見る限り擁壁が崩れたというよりはコンクリートの壁が崩れ落ちた感じだ。土砂崩れが起きた土地には元々マンションらしきものが建っていたが、何年か前に解体されて更地の状態だったようだ。その頃の写真がネットでも見ることができるが、法面の壁はどう見てもいわゆる擁壁とは言えそうにもない。恐らくここにあった建物の構造物が擁壁替わりで施工されていた感じがする。

この状態で現場を見れば、このコンクリート壁を残して新たに建物を建築するには非常に問題があり、コンクリート壁の強度が確認できないようであれば、再度、このコンクリート壁の上に擁壁工事をするなどの補強工事は必要であったかもしれない。

東京都には建築基準法よりも厳しい東京都建築安全条例という法令がある。その中にはがけ条例なるものがあり、その内容は次のようなものになる。

「建築基準法の第19条(敷地の衛生及び安全)第4項では、建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合において、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない」と定められており、東京都建築安全条例の第6条(がけ)では、高さ2メートルを超え、かつ傾斜2分の1こう配を超える「がけ」に近接して建築物を建てる場合、建築物の安全性を確保するため具体的な規制がある。


「がけ条例」の制限を受ける範囲


中でも、今回のようながけ下に建物を建築する場合には、がけの崩壊に対して安全であるように主要構造部を鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造とする。場合により、建物の一部を鉄筋コンクリート造とすることも可能である。

安息角(30度)範囲内に開口部を設けた場合、がけの崩壊に対して安全であると判断できない場合があるので注意すること等々。

また、該当する擁壁が建築基準法による検査済証が交付された擁壁、もしくは宅地建物造成等規制法や都市計画法に基づく開発行為による許可の検査済証が交付された擁壁で維持管理が良好で安全上支障がないもので、構造的に安定していることを一級建築士らが証明できるものとしている。


本来であれば新しい擁壁を施工すべてであるが、何らかの理由で施工できないとなれば既存擁壁の安全性を確認する必要がある。しかしながら、今回の事案ではこうした検証がなされなかった可能性がありそうだ。

この土地に集合住宅等の建築を許認可した世田谷区等ではどういった経緯で建築確認の認可をしたのだろうか。現場の確認をした際に何らかの指導なり是正を通達して認可に至ったのかも疑問は残る。

ある意味、起こるべきして起きた事故事案でもあり、高低差のある土地に造成までして建築物を建てるには最新の注意が必要だ。


収益不動産物件だからこそ施工費の節約があったのか?

この土地には恐らく収益不動産の建物を建築する計画で、地下まで掘って階数を上げ貸す面積を増やしたものの可能性がある。

世田谷区の用途地域は大半が住居系で建ぺい率や容積率も厳しく、壁面後退など地区計画による制限も厳しい。したがって、収益不動産の集合住宅を建築するには単純に割が合わない。

そうなると貸す面積をどうにかして増やすことを考える。

高低差がある土地では、その高低差を利用して実際には4層とか5層の建物でも建築基準法では地上3階地下1階の建物となり、厳しい建築条件でも法的にはOKとなる。

こうした建築物はコスト的には高くつくので建物以外の付帯工事では費用的に賄い切れない。

つまり、背面にあるコンクリート壁を新たにする費用を建築費に算入してしまうと、収益不動産として成り立たないということになる。

背面のコンクリート壁が長さおよそ20M、高さも約20Mもあれば擁壁の施工費はかなりのもの。したがって、既存のままで施工したのだろう。

少々気になって土地の権利関係を見てみると、権利移動の多い不動産だとわかった。所有しても現場があの状況であればいくら安価で買っても、その先の出口が取りづらい物件だと感じる。


高低差のある土地に潜むリスク

東京にはこうした高低差のある土地が意外に多い。

例えば、神田明神や湯島天神のある本郷台地と称する場所は山手線の走っている高架橋の高さと同じぐらい高い位置にある。JR御徒町駅のホームの高さと湯島天神は同じ高さだ。

当然ながら、湯島天神からJR御徒町駅までは急な坂道でその地形がよくわかる。

台地側にある場所は安全とも言えるが、その台地を下る坂道や谷には昔から災害等が付きまとう。河川の氾濫や土砂崩れなど、日頃から注意が必要だろう。


■記事執筆

住宅コンサルタント

アネシスプランニング株式会社

寺岡 孝

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