中小企業の交際費の損金算入限度拡大か - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

薬袋 正司
薬袋税理士事務所 
税理士
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中小企業の交際費の損金算入限度拡大か

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政府・与党の追加経済対策において、中小企業の交際費の損金に算入できる範囲を年360万円から540万円に拡大するという案が出ています。
個人事業主の場合、交差費について別段制限はなく、事業所得や不動産所得を得るために支出した交際費は必要経費として所得からマイナスすることが出来ます。ただし個人事業主の場合、事業経費と家事費が混同することもありますので、その内容からして明らかに家事費の部分は必要経費には算入できません。
法人の場合、その人格自体が全て営業活動を目的として存在するものですから、その支出した交際費は全額一般管理費に計上されることになります。その分利益が圧縮するわけです。しかし交際費を青天井で経費に計上すると、会社の体力が落ちることになります。そこで冗費を節約して企業の自己資本を充実し企業体質の強化を図るという政策的見地から、原則として支出した交際費の全額を所得計算上の損金にしないという取り扱いになっています。要は有税の費用だということです。
ところで、資本金(出資金)が1億円以下の中小企業は、交際費の損金算入をある程度認めて、営業活動がし易いように税制面からバックアップすることになっています。資本金1億円超の大法人は全額損金不算入ですが、中小企業の場合の損金不算入額は1年間で以下のとおりです。
(1)支出交際費が400万円以下の場合 支出交際費の10%
(2)支出交際費が400万円超の場合  (支出交際費−400万円)+(支出交際費×10%)
どんなに僅少でも10%は有税になります。
今回の案は、上記の400万円を600万円まで拡充しようということです。経済状況が悪化している昨今、中小企業の営業活動を後押しするということと、交際費を使うことによって、景気回復に一役かって欲しいということです。
ここで交際費とはですが、交際費とは交際費、接待費、機密費等の費用で、その勘定科目がなんであるかにかかわらず、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。混同しやすいですが、交際費から外れるものとして、福利厚生費、1回1人5,000円以下の飲食代、少額の広告宣伝費(年始挨拶のためのカレンダー等)、会議費、取材費、寄付金、給与、値引き割戻し等、線引きが難しいものがありますので、使途内容の確認をしてください。また使途が不明な費用は損金算入されないばかりか、その支出額の40%が別途の税金として課税されますので、注意が必要です。
日本の商慣行では交際費を全く使わないのは無理かもしれません。担当者同士のコミュニケーションも必要でしょう。互いに仕事を紹介しあったり、情報を提供したりと交際費に代わるお付き合いも信頼関係を築ける筈です。損金算入額が拡充になっても資金を潤沢に使えるわけではありませんので、違う形の成長ができたらいいですよね。