- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
文章の書き出しテクニック(5)
ビジネス文書の書き出し
ひとくちにビジネス文書と言っても、その種類はさまざまあります。
FAX送信表などもビジネス文書と言えますが、これの書き出しに悩む必要はないでしょう。「定型文」がよく知られているからです。
そこで、今回はビジネス文書の中でも「レポート・報告書」の書き出しについて紹介します。
研修に参加した後、また視察のための出張の後などには、レポートを提出しなければならない機会もあるはずです。マーケティングの報告書としてレポートを書く機会もあると思います。
ビジネス文書の中では、レポート・報告書は長文に入ります。だからこそ、書き出しに悩みがちです。
しかし、ビジネス文書には「結論を先に書く」という基本があります。
これは、読み手に結論をイメージさせることで、その先の長文を読みやすくするためです。
ビジネスでは、小説のように行間を求められるわけではありません。
「スピーディーに」結果を伝えることが必要です。
そのため、結論を先に書いたうえで、後で理由を述べる方がよいわけです。
「結論を先に書く」という基本は、長文になるレポート・報告書においても同じです。
ただし、レポート・報告書において、「結論」は「総論」と考えてください。
たとえば新規事業に反対するレポートを作成する場合、結論は「反対」です。
しかし、唐突に「新規事業に反対です」と書き出してしまったら、どうでしょうか。
読む人は気分を害するはずです。
そのため、レポートに書く内容の「骨子」または「概要」を、「総論」として先に説明するわけです。
あまりない例ではありますが、先の新規事業に反対する場合は、下記のような文章になります。
「○○市場の市場調査を行った結果、価格競争が激化していることがわかりました。主な理由は①不動産価格の下落、②異業種からの参入増加、③大企業のパワー営業です。そのため、来期から予定している新規事業○○は、時期尚早と判断しました」
その後、理由の一つずつについて、各論として述べていくわけです。
「総論」は書きづらいと思う人も多いでしょうが、シンプルにまとめることに気を配れば、すんなり書けるはずです。
前回紹介した「セールスレターの書き出し」のように、読者に問いを投げかける必要もありません。むしろ、レポートの書き出しの方が事実を述べるだけですので、気構えずに取り組んでみてください。
次回は、ハガキでのお礼状の「定型パターン」について、紹介します。