昨年、父親が亡くなりました。実家の蔵の二階を整理していると、ステレオのスピーカーセットが見つかりました。ボックスは、私が中学校を卒業し高校に入学するまでの春に作ったもの。スピーカー本体は、パイオニアのPIM16A。16センチ一発。同様に人気のあった三菱のP610が、真面目な音作りであるのに対し、こちらは少し派手な感じででしたが、50年後の今も変わらない音を聞かせます。半世紀近く前の物を、父親が取っておいてくれたのだと思うと、込み上げてくるものがありました。
これで、我が家のスピーカーシステムは、B&Wの801D、タンノイのスターリング、そして今回加わったパイオニアのPIM16Aと三系統となりました。純粋なオーディオファイルからは叱られそうですが、ラックスマンのスイッチで、瞬時に切り替わるように設定してあります。そうそう、それとは別に三菱ダイヤトーンの1000Zが、スクリーンの横にあります。こちらは他のソニーのスピーカーとともに、SACD等のマルチ・チャンネルも可能です。
驚いたのは、価格的に一桁、二桁ほども違うこの3セットですが、それぞれにいい音を出すこと。さすがにクラシックのオーケストラとなると、B&Wの801Dがダントツの一位ですが、弦だとか、ボーカルとなると、それぞれ、いい味を出すのです。個性と言ってもいいと思います。PIM16Aのセットは、ボックスの板が完全に乾燥しきっているのも、効いているかもしれません。
オーディオの醍醐味とは、単に原音再生に尽きるものではないと、つくづく思い知りました。
このコラムの執筆専門家

- 大塚 嘉一
- (弁護士)
- 菊地総合法律事務所 代表弁護士
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