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日経記事;『トヨタ、米EV攻略迅速に自前の車載電池工場 米政権支援策、HV除外に危機感』に関する考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

10月20日付の日経新聞に、『トヨタ、米EV攻略迅速に自前の車載電池工場 米政権支援策、HV除外に危機感』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『トヨタ自動車が初の自前の車載電池工場の建設に踏み切る。場所はお膝元の日本ではなく、営業利益の約3割を稼ぐ米国だ。米バイデン政権は矢継ぎ早に主に電気自動車(EV)の電動車支援策を打ち出すものの、トヨタが得意とするハイブリッド車(HV)は対象外。世界の自動車メーカーがこぞって米国でEV投資を加速する中、乗り遅れかねない。自前戦略はEV市場での反転攻勢のカギを握る。。。』

 

トヨタは、次世代環境対応車として、水素燃料電池車とEVを想定しています。次世代環境対応車が本格普及するまでは、HVで対応しようとしています。

 

しかし、米国および欧州では、次世代環境対応車として、EVの本格普及を目指す動きになっています。これらの市場では、自動運転機能付EVの開発・実用化で主導権を取ろうとしていることによります。

 

トヨタが得意とするHVは、欧州市場では将来カーボンゼロを目指す視点から、環境対応車とは認められなくなります。欧州では、EVと水素燃料電池車が環境対応車となります。

 

水素燃料電池車の普及は、当該自動車の高額な開発費用と、水素燃料ステーションの普及が妨げになり、当分の間実用化される目途がたっていません。

 

必然的に、トヨタはEVの開発・実用化を迅速化させる必要があります。EVのコア部品は、言うまでもなく車載用電池です。

 

現在、トヨタはHV用の電池をパナソニックからの供給に頼っています。トヨタは、パナソニックとの連携・協業(アライアンス)により、HVに適した電池の提供を受けていると考えます。

 

今まで本ブログ・コラムでは、トヨタが自動運転機能付EVや水素燃料電池車の開発・実用化を行うには、他者との連携・協業(アライアンス)の活用が必要不可欠になっていると書いてきました。

 

この連携・協業(アライアンス)の組み方は、自社の経営状況、経営資源、事業環境などにより変化します。

 

他社との連携・協業(アライアンス)は、自社の強みを最大化しつつ、他社との「Win/Win」の関係を築くことにより、自社の事業収益を最大化することにあります。

 

米国大手IT企業では、自社の強みの出し方が変化しています。アップルは、2020年に自社が開発・実用化したSoC;System on a chip(システム・オン・チップ) 、Apple M1チップを搭載したMacPCを市場に導入しました。このSoCは、プロセッサコアやマイコンなどを搭載した、MacOSやアプリケーションソフトを最適に動かすために開発・実用化されました。

 

最近、アップルは、さらに強力なSocであるM1 ProまたはM1 Maxチップを搭載したMacPCを市場に導入し、話題になっています。

 

グーグルは、新型スマートフォン「ピクセル6」と「ピクセル6プロ」を10月20日に発表しました。ピクセル6とピクセル6プロは、グーグルが開発・実用化した自社設計のシステム・オン・チップ(SoC)「テンソル」を搭載しています。テンソルは画像処理やAIにおけるグーグルの強みを生かすよう最適化され、迅速かつ正確な音声認識を実現し、バッテリー寿命を改善するとされています。

 

日本のIT企業では、有力なAIベンチャーであるPFN(Preferred Networks)は、Socとは異なりますが、自社のAIソフトウエアの能力を最大化・最適化するための計算基盤を、神戸大学などとの連携・協業(アライアンス)により実用化してています。

 

このように、米国や日本の有力なIT企業が、自前でSocや計算基盤を実用化するのは、自社の得意とするソフトウエアや商品化技術を最大化・最適化することにあります。

 

これらのIT企業にとって、Socや計算基盤の実用化は、垂直統合のやり方になります。アップルやグーグルは、自社のSoCを実用化するまでは、インテルなどのチップメーカーと、連携・協業(アライアンス)を組んでいましたが、自社の強みを最大化・最適化するために、コア技術を垂直統合方式で実用化するしました。

 

トヨタが、EV用の電池を垂直統合方式により自前で開発・実用化するのは、アップル、グーグル、PFNと同じ目的をもつことによります。

 

今まで何度か本ブログ・コラムで書きましたように、他社との連携・協業(アライアンス)は、自社の強みを最大化しつつ、「Win/Win」の関係が構築・維持できるまで行うことが、基本の基本です。

 

他社との連携・協業(アライアンス)は、自社にとってのメリットが薄れたり、事業環境が急変した場合、迅速に見直して、新たな枠組みを構築することが、必要であり重要なことです。

 

ベンチャーや中小企業が、新規事業を立ち上げたりするときに、他社との連携・協業(アライアンス)は有効な手段の一つになります。

 

この視点から、トヨタ、アップル、グーグル、PFNなどの連携・協業(アライアンス)の組み方は、有効な参考情報になります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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