- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
Vehicle IP, LLC,
Plaintiff-Appellant,
v.
General Motors Corp. et al.,
Defendants-Appellees.
〜モバイルカーナビの特許権侵害事件〜(第1回)
河野特許事務所 2009年3月31日
執筆者:弁理士 河野 英仁
●概要
本事件は、カーナビゲーションシステムに関する特許権侵害事件である。特許の権利範囲はクレームの文言に基づき判断されることはいうまでもない。その際クレームの文言は、普通の意味ordinary meaning)に解釈される。また、当該クレームの文言解釈にあっては、明細書の記載、及び、審査過程において出願人が米国特許商標庁(USPTO)に対して主張した事項が参酌される*1。
本事件においてはクレームの「Coordinate(座標)」の文言解釈が問題となった。特許権者は、カーナビを販売する自動車メーカ、カーナビ機器メーカ及び通信会社を特許権侵害として訴えた。
「Coordinate(座標)」をどのように解釈するかにより、侵害の有無が決定される。地裁はCoordinateを絶対的な位置である座標に限定解釈し、距離等のスカラー量は技術的範囲に属さず、非侵害であると判断した*2。原告はこれを不服としてCAFCへ控訴した。CAFCは、クレームの文言及び審査経過を考慮し、地裁の限定的解釈を支持する判決をなした。
(第2回に続く)