「辞めてやる」が口癖の人が周りからどう見られたか
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「こんな会社辞めてやる!」と口に出したかどうかは別にして、会社勤めをしている人の多くは、一度や二度はこんなふうに思ったことがあるのではないでしょうか。
会社を辞めるというのは、人生の中ではわりと大きな選択の場面だと思いますが、それ自体は悪いことではありません。私自身も会社を辞めた結果で今がありますし、決してけんか別れした訳ではないので、今でもいろいろな人たちとお付き合いを続けています。昔からの仲間で助けてくれる人は本当にたくさんいます。
ただ、会社を「辞めてやる」という言葉には、会社批判のニュアンスが混じっていることが多いので、あまりいい発言とは言えません。
ある会社で、この「会社を辞める」が口癖のようになっている社員がいます。年齢は40代前半で、20代後半に中途入社したので、社歴はもう15年を超えるような人です。
入社当初から会社に対する批判的な態度の強いところがありましたが、その当時は「上に対してはっきりと意見を言える人」「課題指摘ができる人」という評価だったようです。
その頃から「こんな会社辞めてやる」「別に辞めたっていい」など、退職がどうこうという発言は多かったようですが、この言葉の背景には、「自分こそ正論である」「自分が辞めたら会社が困る」といった自信があったのでしょう。
そんなことを言いながらも、結局辞めずに15年を越える社歴になっている訳ですが、発言の中身は相変わらずで、会社をはじめとした他者批判をしながら「辞めてやる!」というそうです。しかし、辞める気配は、これまで以上にまったくないようです。
そんな状況で、この人が最近周りからどう見られているかというと、入社時の「はっきりものが言える人」ではなく、「口だけで実行力がない人」「責任感がない人」となっています。
そうなった理由は、これまでの行動や態度が見られ続けた結果で、批判的なことを口先で言うだけで、結局自分では何も行動しないという評価だそうです。リーダー的な役割を任された時期もあったようですが、結局実績は残せず、それを会社や周りのせいにする発言を続けて、誰からも信用されなくなってしまいました。何でも人のせい、他責で、自分で責任は取ろうとせず、建設的な解決策や対策を示すことができない人と見られています。
相変わらず出てくる「辞めてやる」という発言に対しては、今の会社の本音は「それならさっさとそうしてくれ」となっています。発言でネガティブな雰囲気を作り出し、積極的に仕事に取り組む姿勢もなく、周囲の信頼がないからだといいます。
こうなってしまったのは、本人の姿勢や態度の問題に尽きますが、私はこの人の口癖となっている「辞めてやる!」という言葉に大きな原因があると思っています。
これを口に出して言うという人は、人のせい、自己正当化、その他ネガティブな要素が大きく、さらにこの言葉を投げかけられる経営者や役員、幹部社員に、これをうれしい、好ましいと考える人は絶対にいないからです。
堅調な業績で推移している会社なので、人員整理などが行われる可能性は当面ありませんが、もしそんな状況になったとしたら、この人は真っ先にリストラ対象になってしまうでしょう。本人は今でも「自分が辞めたら会社が困る」という前提で発言しているかもしれませんが、会社の評価はまったく正反対になっています。
本人は辞める気がなく、会社の本音はいてほしくないと思い、それでもこの人が態度を変えず、これからも会社に居続けたとしたら、少なくともこの人の職業人生は不幸としか思えません。
よく言霊などと言いますが、こういうネガティブな口癖は、口に出すほどその人は幸せから遠ざかります。「辞めてやる!」と思うことがあっても、少なくともそれは口癖にするような言葉ではありません。
良くない言葉を発するのは必要最小限にとどめ、それ以上は心にとどめておいた方が良さそうです。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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