- 小笠原 隆夫
- ユニティ・サポート 代表
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-4590-2921
対象:人材採用
- 中井 雅祥
- (求人とキャリアのコンサルタント)
- 中井 雅祥
- (求人とキャリアのコンサルタント)
来年の新卒の就活はすでに解禁されていますが、コロナ禍で企業と学生の双方ともに、なかなかスムーズな活動は進めづらい状況があります。これからいろいろ苦労することも多いでしょう。
そんな就活の中ですが、企業から評価される人というのは、その前段で書類選考やテストがあったとしても、やはり面接での対応が良い人です。
面接の対応が良い人は、弁舌が立つ、話がうまい、口頭でのコミュニケーションが得意というような人であり、逆から見れば、面接がいまいちの人はそのあたりが不得手の人で、就職活動で苦労するのはそんな人たちでしょう。
これはある中小規模の企業ですが、応募者の人数自体があまり多くないこともあり、社長は「必ず一つは応募者の良いところを見つけるように」と言明しています。選り好みをしていては、人数がそろわないというのが実際のところです。
「必ず良いところを見つけろ」と言うのは、採用担当者としては結構難しいことで、この会社では様々な筆記テストや実技テストを行い、一人一人の選考に時間をかけています。
私も面接に立ち会うことがありますが、ある日会った応募者は、とにかく緊張しているのか、なかなか良いコミュニケーションが取れません。質問をしても「はい」や「いいえ」で終わってしまったり、何か聞いても型通りの答えしか返ってきません。ただしそれはいい加減にやっている訳ではなく、一生懸命なことだけはわかります。
普通の会社であれば、「これでは難しい」と不採用になってしまうのでしょうが、この会社では社長命令で何か良いところを見つけなければなりません。そこで他にいくつかのテストをすることになりました。
適性テストによれば、基本的には地味なおとなしい人で、自分から前に出ていく人ではありません。面接での過緊張の様子はここからも理解できます。
そんな中で、実技テストとしてパソコンのデータ入力操作をやってもらったところ、これがピカイチでテキパキしています。本人に聞いてみると、もともと漢字の読みや文章を書くことは得意だったそうで、そんな内容のアルバイトもしていたようです。
この会社では、実務でもこのような入力作業があり、この応募者を評価した社員によると、「社員の誰よりも早くて正確」ということでした。
その後、この応募者は最終面接に進み、そこでの対応も相変わらずうまくはありませんでしたが、実技テストの結果が評価されて無事入社することとなり、その後はデータ入力の担当責任者として活躍しています。
もともとの性格から、自分から気づいて何かをやることが少ないとか、積極性が足りないとか、それなりの欠点はありますが、会社の戦力として十分な活躍をしています。
1人の人材をここまで手間暇かけて選考する会社はめったにありませんし、一般的な採用手法では見出せなかった人材だと思いますが、真剣に探せばこんな人材が隠れている場合があるということでしょう。
もう一つ、中小企業にとってはメリットだと思いますが、就職活動が苦手な人は、その後の会社への定着度合いがとても高いということがあります。「もうあんな苦手なことはしなくない」という思いもあって、自分の良さをわかってくれた今の会社で何とか頑張ろうという姿勢があります。
就活が苦手な人を採用するのは、究極の退職者対策なのかもしれません。
この会社の人材採用に対する姿勢を、私は高く評価しています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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