解決志向ブリーフセラピー:自傷癖が改善し恋人も♪ - キャリアコーチング - 専門家プロファイル

阿妻 靖史
パーソナルコーチ

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:コーチング

大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
喜多見 明日香
喜多見 明日香
(パーソナルコーチ)
咲桜 佳美
(ビジネスコーチ)

閲覧数順 2024年04月23日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

解決志向ブリーフセラピー:自傷癖が改善し恋人も♪

- good

  1. キャリア・仕事
  2. コーチング
  3. キャリアコーチング
解決志向アプローチ(解決志向ブリーフセラピー)事例

I子さん(女性)
解決志向アプローチを用いて、自傷癖の改善を見た
セラピー事例をご紹介します。

 彼女は、周りの人に対しての怖れが強く、恋愛も上手にできませんでした。始め、少し緊張していた様子でしたが、メルマガのこと(かなり古くからの読者さんでした)などを話すうちに、次第に緊張が解けてくると、可愛らしい笑顔を見せてくれました。

 対人的なストレスを感じる彼女は、自傷癖を持っていました。(私は積極的に自傷癖の話は振らないのですが)話をしていくうちに、自傷癖の話になりました。
 過去に母親との関係でトラウマがあり、それをきっかけに自傷が始まったとのことでした。退行催眠を受けたこともあるが、嫌な思いを再体験しただけになってしまったとのこと。NLPを使って嫌な思い出に対する感情を変化させることも提案しましたが、やはり思い出すことはちょっと抵抗があったようです。

 そこで、解決志向型アプローチはどうかと提案してみました。これは、比較的新しい方法で、いかに短期間で効果を上げるかに絞って考案され、発展してきた方法です。
 彼女は、自傷という形である種の「自己表現」をしてきたわけです。これはとても強い力です。能力なんです。本人の望む形ではないけれど、とても強い力を持っているわけです。これを利用することを考えました。解決志向アプローチでは本人の能力を引き出すことに注力します。

 「一病息災」
 ふと、私の頭に降ってきた言葉がありました。

 そこで、こんな話をしました。
「I子さん、その自傷癖はきっと、ストレスで自分が壊れてしまわないために、大事なメッセージを教えてくれているんだよ。その自傷癖があってよかったね(にっこり)」

 ちょっと「えっ?」という顔をした彼女をよそに話を続けます。

「一病息災って言葉を知ってる?」
「いいえ」
「元々は『無病息災』って言葉があって、病気がなく健康だって意味なんだけど、この『一病息災』は、

 『ひとつぐらい病気がある方が、かえって健康に気をつけるから、むしろ長生きできる』

 って意味なんです。」
 へぇ〜って顔で聞き入っている彼女。
「私もね、耳の後ろに皮膚炎があって、体調が悪くなるとこれも悪化するんだよね。でもある意味健康の指標になっていて、 『昨日脂っこいもの食べたから悪化したかな』とか、『睡眠不足が悪かったかな』とか、分かるんだよね。ひとつぐらい、命に別状がない病気があっても、かえって健康のバロメーターになっていいもんだよ。」かなり納得していた様子なので、言いました。

「その自傷癖も、あなたがストレスを溜めすぎないための大事な指標なんだと思うよ。」

 ここは、私の勝手な推測ですが、この瞬間彼女の頭の中に、
 自傷癖→いやなもの  という観念のほかに、
 自傷癖→もしかして役立つ? という考えが芽生えました。

 症状は、いやなもの扱いすると、悪化することが多いのです。逆に、ちゃんとメッセージを受け取ってあげると改善します。そこで、その後、無理なくできるように、
 ・自傷してしまったら、×
 ・自傷しそうだったけど、しなかったら△
 ・自傷の衝動がなかった日は○
という日記をつけるように勧めました。同時に、○の日には、何をしたかも書くことを勧めました。解決志向では、問題に目を向けるのではなく、「うまく行ったときに目を向ける」ことが大切なのです。

その後、彼女から報告が来ました。
> 1月にセラピーを受けました、Iです。
> それからの報告をいたします。
>
> 阿妻さんのアドバイス通り、日々に点数をつける作業を続けています。
> 高い点数をつけた時に何をしたかもできる限り書くようにしています。
> 友達に会ったり、おいしいものを食べたりした時に
> 点数が高くなる事が分かってきました。
>
> セラピーをうけてから2週間後に彼氏ができました。
> 今まで恋愛していた時とは比べものにならない位
> 精神的に落ち着いたお付き合いができているので
> おかげさまで点数も高い水準を保っています。
>
> 仕事中に髪を抜く事はありますが、
> オフの時にはめったな事では抜かなくなりました。
>
> 私のうなじがきれいだといわれ、
> 俺のために髪を伸ばしてほしいとお願いされました。
> このままいけば今年中に髪を抜くクセをやめられそうです。
> この人が私の支えになってくれるならなんだってできる気がします。
>
> 以上報告でした。

よかったですね。これは、相当うまくいったケースだと言えます。セラピー1回で症状が改善し、彼氏までできたなんていうのは、だれにでも期待できる変化ではありません。彼女自身の力があったので、変化が起こったのです。


私は根っからかなり「論理的」です。相談者の方のいいところを褒めるときも、理路整然としています。
こうして課題(毎日記録をつける)を出すときも、意味をちゃんと説明します。そして、納得して行動するからこそ、その行動が続くのだし、その結果、症状が良い方向に向かうのだと私は信じています。

 さらに、文章では見せられないのが残念ですが、私は論理的でもありますが、話すときはかなり「感情を込めて」話しています。とても大事にしていることなんです。論理的で、感情豊か。これを理想にしています。

 解決志向アプローチというのは、しくみは結構単純なんです。
 ・相手の良いところを探し、褒める。
 ・よく話を聞いて、能力を見極める(問題が能力を教えてくれる)
 ・うまく行ったときのことを、思い出すようにする。
 ・どうなりたいかをイメージする。
 ・使える能力は(たとえ自傷癖でも)何でも使う。
 ・小さなことでいいから行動できるよう、上手に説得する。

 私が大事にしていることは、こんなことです。このシンプルなことを、めいっぱい論理的に、めいっぱい感情豊かにやっています。
 解決志向アプローチのメリットのひとつは、セラピールームが暗くなりにくいことです。うまくいくと、笑って終わり。でも、その後解決しちゃう。いいじゃない。そういうのも。