渋谷での打合せへ向かう午後の「明治通り」を、ひさしぶりに歩いてみた。
再開発が進む渋谷駅の高層ビルが近くにそびえる。
街並みも、ほんの少しの隙に新らしくなっていく。
神宮通公園に 安藤忠雄設計の公衆トイレ「あまやどり」を見つけた。
クリエーターによる公衆トイレを、2021年夏までに区内の公園など17箇所
設置するという『THE TOKYO TOILET』プロジェクトのひとつ、とのこと。
渋谷区と公益財団法人日本財団によるこのプロジェクト。「おもてなし」の
こころを公衆トイレから、とは、面白い発想だ。
この 神宮通公園トイレ
格子を用いたデザインは、解放性と通気性を確保しプライバシーも守られる。
色使いも繊細で『和』の感じ。通り抜けができる動線も明快。サインもいい。
ただ、ネットフェンスに囲まれたような配置は、管理上のことでだろうか‥。
明治通りから気楽にアクセスできた方が、よかったのでは? ちょっと残念。
宮下公園も商業施設と一体で「MIYASHITA PARK」としてリニューアル。
かつての宮下公園に、あまり良いイメージを持っていなかった方々も多いか
と(私も含めて)思いますが、清潔で開放的な空間に生まれ変わっています。
最上階の公園スペースまで 利用者は上がってくるのだろうか?
いわゆる『ヒキ』 デパートでの、屋上遊園地や最上階の催物会場などです。
ただ開放感さえあれば、そんな施設は必要ないようです。
ふと、愛知芸術文化センター前の施設『オアシス21』を思い出しました。
まさに都市の中のオアシスになるのでしょう。
再開発がなされながら
渋谷駅側には昭和の佇まい満載の一角『のんべい横丁』が残っています。
覗けば、一坪ほどの小料理屋が肩身を寄せ合うように軒を連ねています。
カウンターの常連らしき孤独な年配客の相手は、割烹着の女将がひとり。
「MIYASHITA PARK」の1階、渋谷川暗渠上の路地に面した『渋谷横丁』
の、若者達が集う開放的で活気のある大型居酒屋と、あまりにも対照的。
この地域も、一体化して再開発されるべきじゃなかったのか。と思う反面。
いつまでもこのままであってほしい‥。切ない気持ちになってしまいます。
緊急事態宣言が明けたなら、どこか一軒、暖簾をくぐってみようか。
このコラムの執筆専門家
- 岩間 隆司
- (東京都 / 建築家)
- 株式会社ソキウス 代表取締役
スマートに シンプルに 住う。 都市型住宅・集合住宅
都市の厳しい条件のもとでも、住宅や集合住宅を実現させてきました。住宅計画における制約は、生活空間に個性が生まれる、ひとつの契機として、ポジティブにとらえております。
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