- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。
今回は、2021年度介護報酬改定の概要の3つ目として、「自立支援・重度化防止の取組の推進」を取り上げます。
大きく分けて3つポイントがあります。
それは、
①リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化
②介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進
③寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進
となります。
以前もこのコラムで書きましたが、最近「在宅限界」という言葉が使われています。
介護状態が悪化しないように、悪化しても極力施設入所されずにギリギリまで在宅で生活できるように、その限界点を上げていこうという意味です。
そのためには、やはりリハビリや機能訓練、口腔ケア、栄養ケアは欠かせません。
もちろん人に拠りけりですが、リハビリや機能訓練を続けていくと、本当にADLの維持・改善が見込めます。リハビリは魔法ではありませんから、歩けなくなった方がサクサクと歩けるようにはさすがになりませんが、それでも寝たきりからつかまり立ちに、車いすから杖歩行に、更衣全介助だったのが一部介助にと、リハビリによってできることが少しずつ増えてくるものです。
実際に一定の成果が上がることが証明されているわけですから、もっと推進していただきたいところです。
しかし、如何せん「連携」がうまくいかない。これは非常根深い問題です。
理由は様々です。
制度上の問題、膨大な業務量(書類作成等)、人材不足等いろいろありますが、私は見えない「力関係」のようなものが作用しているように思います。
例えば、セラピストのことを介護職は「〇〇先生」と呼ぶ。
この呼び方が、まさに力関係を生んでいるように思うのです。役割が違うだけで、対等なはずなのに・・・
こんなことを言っては怒られてしまうかもしれませんが、私は医師にも「先生」とは呼びたくありません。
いろいろ問題が生じるので先生と呼んではいますが、これが本音です。
医療的なことに関しては完全なる専門家で、私は素人でありますから、ご指導いただく意味では確かに「先生」です。
でも「医師=エライ」ではありません。勘違いして威張り散らす医師も、残念ながらいらっしゃいます。
そんな人を、「先生」と呼びたいですか?私は絶対に嫌ですね。仕方なく呼びますが・・・
少し話がそれましたが、いずれにせよ連携がうまくいかないことが非常に問題になっております。
そこで、今回の改定においては、ICTを活用しつつセラピスト等と連携が取れやすい仕組みをつくり、実践することによって加算を取得しやすくなるということです。
また、通所介護に関する様々な見直しも図られます。
以前から再三批判していますが、入浴介助加算の見直し。利用者の自宅での入浴を自立させる観点から、個別入浴を目指すという内容です。
個別機能訓練加算も、ⅠがなくなりⅡに統合されるようです。
生活機能向上連携加算(通所だけでなく多くのサービスにある)も、外部のリハ職が訪問しなくてもICT等を活用することで算定できるようになります。
さらに、口腔スクリーニングの実施に関する評価も始まります。
施設系では、「口腔衛生管理体制加算」は廃止し、基本サービスに丸めることとなります。
「体制を整えていれば算定できる加算(体制加算)」や「実施していれば算定できる加算(実施加算)」は、今後ほとんどがなくなっていくでしょう。
すべてはご紹介できませんが、こういったことが今後導入され、サービス事業所は国にCHASEやVISITへPDCAデータを提出するよう求められます(データ提出に協力した場合は加算が手厚くなる予定)。
そして国は、蓄積されたデータを活用し、科学的介護への本格導入を目指していきます。
エビデンスに基づき解析した結果、十分な成果が上がると結論づけられれば、科学的介護は進んでいくと思われます。
今後人口減少によりますます不足する介護業界において、少ない人員でも効果的なサービスが提供できる形にしようとしています。
科学的介護へ進行していくことは、当然の帰結ではないかと思います。
個人的には、あまり効率ばかりを求めると無機質で想いが通わないサービスになってしまい、さびしい気も致します。しかし、これだけ人材不足が深刻ですと、そんなことも言ってはいられません。日本の産業は生産性が低いと言われていますから。
ある意味、仕方がないと思います。
まだまだわかりませんが、もしかしたら数十年後には介護人材をそれほど必要としない時代がくるかもしれない。今はとても非現実的ですが、それくらいの危機感は持っておいた方がよいような気もいたします。
とはいえ、何よりも「今」が大変な状況です。
現状を嘆いても仕方がないので、今私達にできること最大限に行うこと、これがすべてではないかと思います。
明日は、「介護人材の確保・介護現場の刷新」についてお伝えしたいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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