江戸のイノベーター「十右衛門」ー志継ぐ東京の酒蔵ー - 広告戦略・媒体計画 - 専門家プロファイル

ウジ トモコ
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閲覧数順 2024年04月18日更新

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江戸のイノベーター「十右衛門」ー志継ぐ東京の酒蔵ー

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視覚マーケティング 広告戦略のこれから
こんにちは ウジトモコです。

知らなかったのですが、現在、東京に10以上の酒蔵があるのだそうですね。

その中でも、なんと、創業より400年という「豊島屋」さんの酒蔵、豊島屋酒造株式会社さんに先日、工場見学に行って来ました。もちろん利き酒に行った訳ではなく(笑)・・・、デザインマーケティングのお仕事の取材だったのですが、非常に愉しい一日でした。


江戸庶民の心をわしづかみ。女性にも飲む愉しみを解禁にした「白酒」



豊島屋さんのホームページにこんな記載がありました。
清酒「金婚正宗」は、明治神宮、神田明神、及び日枝神社の御神酒として、御納めさせて頂いて居ります。


そういえば、明治神宮に初詣に行った時に見た事があるかもしれないですね。この「金婚」という樽を。私は、年末に冷やで頂きましたが、非常に芳醇で華やかなお酒です。

蔵を訪れたとき、一番に目につくのは、「仕込み水(お酒に使う水のこと)」の井戸なんですが、20年前の富士山の雪解け水がゆっくりと地下を通って流れている湧き水だそうで、いわゆる軟水。灘の男酒が硬水、伏見の女酒は軟水からつくられるそうですから、まさに「金婚」は女酒ということになります。

「江戸の草分け豊島屋の白酒」は、宮家へ献上申し上げて居ります。


そしてストーリー的に、ややバッチリ来すぎている感もありますが、こちらの名物である白酒は、桃の節句に飲む、あれですね。白くて甘いやつ。しかも、誕生のストーリがスゴイ。

ある夜、豊島屋十右衛門の夢枕に、紙雛様が立って、白酒のつくりかたを伝授し、その通りに醸ってみますと美味しい白酒が出来たとされ、江戸中の評判になりました。


なんだそうです!こういう話ってやっぱりあるんですね。別名「ヒラメキ」ともいうかもしれませんよ。ちなみに、「白酒」は清酒ではなく「リキュール」です。

江戸という時代背景を考え、あまり想像がつかなかったのですがお話を伺うに創業者の十右衛門氏は、ジェンダーな思想を持つイノベーターだったようです。新規のマーケットに新商品を気負いもなく導入して、面白いようにヒットを生む様が川柳などに書き記され、今に伝えられています。


江戸時代に「ひろめ屋」使い、新商品をPRした「十右衛門」



時は江戸、慶長年間といえば、太閤秀吉の晩年にあたり、徳川家康が江戸に入り、江戸城も大改修の時期をむかえていました。
 (中略)
 当時は、まだ、関東ではよい酒を醸る技術がなかったため、“下り酒”と呼ばれる、関西から船で運ばれてくる酒が一般的でした。そこで、“酒屋、及び安くて旨い酒を提供する店”を開き、酒の肴として、美味で、特別大きな田楽を販売して大評判となり、大いに繁盛したのです。
その評判ぶりは、
「田楽も鎌倉河岸は地物也」と、当時の川柳にも詠われ、

「ひろめ屋」(昔のチンドン屋)は、
「昔徳川入国のその以前より草分けと、人も知ったる豊島屋は……、
 すなわちこれが自慢の白酒…… 
 憂きを忘れる弥生空、雛の節句を当て込みに、今年も売り出しいたしますれば、えいとうえいとうお求めを……」と、大太鼓と笛の口上で道行く人々の心を掻き立てました。


「ひろめ屋」っていうのが凄いネーミングですね。今風で言えば、「戦略PR」とかまさに「クチコミマーケティング」ではないでしょうか。

さて、今回の私の任務は、なんと72年後の創業500年に向けてのリブランディングチームの戦略メンバーに加えていただいたということになり、視覚マーケティングの手法を持って全力でお手伝いさせて頂くことになりそうです。

5年先、10年先、50年先・・・と広いビジョンをお持ちの経営者の方にすでに何人にもお会いしておりましたが、72年後の創業500年を考えるプロジェクトというのは、さすがに初挑戦。気の引き締まる思いですが、緊張感も走ります。これぞまさに「武者震い」というのでしょうか(笑)


蔵に漂う、甘い麹の香りと職人の仕事に賭ける溢れる愛情・・・



酒蔵の責任者の方、職人さんの何人かにお会いしましたが、蔵を巡り、麹を味わい、ぶくぶくと音を立てて「いい酒」にそだてていく「酒造」の現場で見たものは、やはり創業者の「志」であったような気がします。「小さな蔵ですので・・・」と、現TOPは謙遜されておられましたが、日本のモノづくりの美学と哲学、原点をまさに目の当りにしたように思います。

この蔵で働くすべての人が、酒創りを愛し、自社の酒を心から愛しているのが本当にひしひしと伝わって来たのです。

そんなこんなで、想像の翼はすっかり江戸に飛び、斬新かつ粋を極めた十右衛門氏に思いを馳せます。400年以上前にこの江戸で名をあげた、メイドインジャパンのイノベーター。

ということで、視覚マーケティングの事例については、またいつかご報告出来たらと思います。

ご参考になれば幸いです。


▼創業400年、江戸東京の清酒
→豊島屋酒造株式会社

▼豊島屋酒造のブログ
→酒のさかな。

▼「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」
→創業慶長元年/東京神田「酒の豊島屋」

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