- 小笠原 隆夫
- ユニティ・サポート 代表
- 東京都
- 経営コンサルタント
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03-4590-2921
対象:人材採用
- 中井 雅祥
- (求人とキャリアのコンサルタント)
- 中井 雅祥
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「どんな人かは見抜ける」と言い切るベテラン人事に感じる過信
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会社から見て、人材というのは、どんなに万全を期して選考し、その人のベストと思えるキャリアプランで育てたとしても、なかなか思った通りにいかないことが多いものです。
「期待した人材を抜擢してみたもののあまり良い結果が得られない」「思わぬ人材が力を発揮する」「採用してみたら想像とは違っていた」などということは、できれば避けたいと思っていても、日常的に起こっていることです。
採用担当者としては、多くの人と出会い、経験を積んでいくことで、この振れ幅を縮めることはできるでしょうが、まったくゼロにすることは不可能です。
その人の行動として顕在化してくることは、持っている資質のどこかに必ずあったはずですが、外部環境によってその出方が左右されることもありますし、後天的に変わっていくこともあります。これらを限られた時間の面接だけで見極めるのは難しいことでしょう。
最近は本格的なインターンシップの導入など、一定の期間を使ってお互いの認識のずれをなくそうという動きがあります。手間ひまがかかるので、なかなか広く普及とはいきませんが、私は良い取り組みだと思いますし、必要なことだとも思います。
こういう難しさが認識されている一方で、経験豊富なベテラン人事の方々の中に、ときどき「会って少し話せば、相手が誰でもどんな人かはだいたいわかる」と豪語する人がいます。これまでの経験に基づく直感から想像ができてしまうそうで、その勘はほとんど当たっているそうです。
私自身も長らく人事の仕事に関わっているということでは同じような立場で、確かに勘が働く場面はたくさんありますが、ここまで言い切るのは、私はあまりにも過信しているのではないかと思います。
その理由を一言で言ってしまえば、どんなに豊富な経験に基づいていたとしても、結局それはその人の“思い込み”に過ぎないということだからです。
心理学では「スキーマ」という言葉があり、これは「人間の過去の経験から生まれた知識のまとまり」のことで、外からの情報に対しては、これを使って予測対応しようとします。
ただし、過去の経験として記憶されているのは、多くの場合、自分の価値観に合致したことを選択的に覚えていて、そこと照らし合わせて「ほら、言った通りだろう」「予想した通りだった」などと言っていることが多いそうです。
「体育会出身者は打たれ強い」とか「○○大学は優秀である」などというのは典型ですが、その大枠はあっていたとしても、みんながみんなその通りであるとは限りません。
「思っていたより○○だった」などという細かな見込み違いはたくさんあるはずですが、そういう部分は自分の価値観と合致していないため、記憶として残っていません。
ここで言いたいことは、特に人材に関することでは、絶対に決めつけてはいけないということです。
経験豊富な人ほど陥りやすいところですが、他人の何たるかは、採用活動で接した程度の時間で、そう簡単にわかるものではありません。
これは応募する側にも言えることで、ちょっとしたことで「ブラック企業だ」などと言って敬遠して、せっかくの縁を逃しているかもしれません。
選考を進める企業側も、応募する学生側も、「できるだけ思い込みを持たずに事実に基づいて」という姿勢が大事ではないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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