
- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
2013年に長野県の特養で起きた「特養おやつ死亡事故」の裁判の件。
勤務されていた准看護師の方が、入所者様におやつを提供した際に喉を詰まらせて亡くなったのは、准看護師の過失によるものではないかと裁判になり、1審では有罪(罰金20万円)となったものの2審では逆転無罪になったというニュースです。
当時私はこの話について、あまり記憶にはありませんでした。
しかし、これは介護業界にとっては大変重要なニュースです。
まず何よりも、残念ながらお亡くなりになった入所者の方には、心よりお悔やみ申し上げます。
その上で今回のことについて申し上げると、本件が無罪判決になったというのは今後の介護業界にとって極めて重要な一歩になったと思います。
食事介助というのは、本当に難しい。簡単にはできません。
私も過去にやりましたし、勤めていた施設でも日常的に行われていました。どこの施設でもそうなのではないでしょうか?
基本的にはマンツーマンが求められますが、人手不足の昨今でそれも簡単にはいきません。
特養のように重度要介護者が多い施設でしたら、なおさらです。
この入所者様は、恐らく嚥下機能に問題があったのでしょう。介護職員の間ではおやつの際にゼリー状のものを提供することになっていたそうです。
しかし、たまたまヘルプに入った准看護師さんがドーナツを提供した。それで窒息した。
原告の方の心理について、身勝手に語るべきではないかもしれませんが、恐らくこうでしょう。
「申し送りはどうなっていたのだ」「しっかりコミュニケーションが取れていれば、こんなことにはならなかったはずだ」「そちらの重過失だ」と。
ご家族の立場なら、そうおっしゃいたくなるでしょう。
しかし、これが裁判となりますと、双方の立場から法に照らし、客観視して判断しなければなりません。
私は、今回の判決に関してとやかく申し上げる立場にはありません。
しかし・・・
今回、当該従業員個人が訴えられました。施設側の管理責任を問われたのではなく、個人に対して責任を求めました。
もちろんプロですから、サービスの質は求められます。しかし、個人がここまで責められてしまったら、怖くて仕事ができなくなります。
2審では「おやつの形態変更を、ヘルプで急遽入った准看護師が知ることは困難であった」と判断したようです。
今回の件で、施設側は大いに反省し、学んでいただかなくてはならないと思います。
法人の管理体制は、今回とても大きな問題でした。決して、今回のことを日常においてブラックボックス化してはいけない。入所者がお一人お亡くなりになっているのですから。
現場で顕在化している「介護職員と看護職員の連携の難しさ」についても、今回露呈されたように思います。
今回、被告人個人を全力で守った弁護団の心意気を、私はものすごく感じました。
介護現場を委縮させてしまっては、それこそ人間の尊厳に向けた介護サービスを提供することができなくなる。それは絶対に避けたいという、弁護団の想いは伝わりました。
私も、従業者様たちが安心できず、逆に委縮してしまうような業界にはなってほしくありません。
このコラムの執筆専門家

- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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