介護サービスにおける書類負担 - 経営コンサルティング全般 - 専門家プロファイル

株式会社アースソリューション 代表取締役
東京都
経営コンサルタント
03-5858-9916
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:経営コンサルティング

寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月24日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

介護サービスにおける書類負担

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 経営コンサルティング
  3. 経営コンサルティング全般

こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


さる6月22日(月)に、経済財政諮問会議が行われました。


資料を読ませていただきましたが、趣旨がいくつかある中で私は、「強靭かつ柔軟、安心できる社会保障の構築と包摂的な社会の実現に向けて」という内容を取り上げたいと思います。


政府は長年、IT化を推進すると言っておきながら、その対策が大きく遅れを取ってきたことは否めません。

その証拠に、今般の新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が打ち出した給付金や補助金業務において、ことごとく活用ができない状況となり、やむなく郵送対応となっていることからも窺えます。その結果、支給が大幅に遅れているという情けない現状があるのです。


これは、国も本当に重く受け止めるべきだと思います。


少し話がそれましたが、その反面オンラインの活用により、テレワークや在宅勤務等において大いに活用できるという成果も見えてきました。

それもあってか、政府も本腰を入れて介護の部分にもオンラインの活用、AI、そしてかねてから大問題になっている文書軽減に向け、着手を始めようとしております。


どれも非常に重要ですが、その中でも特に重要となると思われるのが、現場における文書負担軽減です。

とは申しましても、文書負担軽減とIT化というのは、切り離せない間柄になるわけですが・・・


介護に限らず、福祉や医療の現場ではとにかく書類が多い。多すぎる。

医療においても、カルテをしっかり書かないと個別指導で報酬返還になってしまいます。


介護はもっと大変です。

契約書・重説から始まり、アセスメントやプラン作成、サービス実施記録、支援経過、提供票や利用票、モニタリング等々、何をするにも書類が必要になります。

その他、行政に提出する書類も膨大になります。2月に介護職員処遇改善加算の届出が終わったかと思うと、もう前年度の実績報告をする時期が始まろうとしています。それ以外にも、各種加算に関する書類や行政からくる調査票の記入、不定期にやってくる実地指導においては相応の準備をしなければなりません。

これらのものを、現場でサービスを提供しながらすべて行わなくてはなりません。

ご利用者様も、都度説明を聞かされ、サインをし印鑑押印もさせられます。非常に大きな負担になっていて気の毒なくらいです。しかしそれでも、法令通りご利用者様に求めなければ事業所がペナルティーを受けてしまいますから、やむを得ずお願いしています。


しかも、記録やケアプランについて、近年では「内容」まで求められます。

これまでのように「記録があればよい」では済まされず、テクニカルなことを要求されます。


まあ、それらを求めるのは当然といえばそれまでなのですが、とにかく現場は書類作成に忙殺されているわけです。


これで、人材は潤沢にいればまだよいですが、そうはいきません。慢性的な人材不足でどこも悲鳴を上げています。


政府は、諮問会議や分科会を開催して、この現状を何とかしようという動きにはなっているようです。

介護業界が慢性的な人員不足に苦しんでいること、文書作成が負担になっていることはさすがに承知していて、それを何とかしようという考えだけは感じ取れます。


介護におけるオンライン化や書類負担軽減には、大賛成です。

しかし、実現されるかどうかは微妙です。多くの諸問題を解決しなければならないと思います。


オンラインによるサービス提供に置き換えることは、一部では可能だと思います。

介護でも、担当者会議やモニタリング、施設における面会等で、オンラインが活用されるケースも増えていて、物理的には可能でしょう。

また、コロナの影響で、医療現場ではオンライン診療ができるようになりました。感染が収束するまでの時限的措置だったはずですが・・・

医師に話を伺ったことがありますが、「確かに便利だし、新型コロナの状況では功を奏したと思うが、やはり直接診るのが一番」とおっしゃる先生が多かったです。


さらに大きいのが、相手方(患者様・ご利用者様)のIT環境整備の問題、そして従事者のITリテラシーです。

オンライン化を進めるにしても、相手方である患者様やご利用者様がその環境になければ、徒労に終わってしまう可能性大です。ご家族がいらっしゃる方ならまだしも、そうでない独居や老々介護のような方ですと、IT環境を整えるのは至難の業でしょう。


そして、スタッフのITリテラシーの問題も深刻です。

ガラケーのメールが精いっぱいという方も、まだまだたくさんいらっしゃいます。事業所としてはIT化を推進しようにも、スタッフがついていけないというケースはたくさんあります。それを進めるのなら辞める、とまで言う職員も多いと聞きます。だから導入に踏み込めない。

訪問介護等では、御年70代以上のヘルパーさんがたくさんいらっしゃいます。素晴らしい限りです。

しかし、70代を過ぎた方が全く分からないIT分野に足を踏み入れるというのは、正直言って簡単ではありません。苦手という方のほうが多いのではないでしょうか。

IT化を進めるのは大賛成ですが、そのためには年代に関わらず操作ができる位目線を下げてあげないといけません。


人間同士の直接的コミュニケーションが欠かせないこの業界で、オンラインに完全移行させるのは不可能であっても、できる限りの対応をしていただき、書類負担の軽減については真剣着手していただきたい。


年齢問わずにITを活用できるようにすることも必要ですが、スピーディーに進めるためには書類を減らすことが必要です。


次回、またはその次の報酬改定では、恐らくIT化に向けた話に及ぶでしょう。ケアプランのAI化もしかり、IoTやICT活用によるセンサーや見守りロボット等の導入も・・・


人材を増やすことは今後も継続しなければどうにもならないのですが、限界もあります。

ですので、人材に代替できる部分については、積極的にIT化を推進していただきたい。


今後の動向を見守りたいと思います。



 |  コラム一覧 | 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

03-5858-9916
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

このコラムに類似したコラム

オンライン無料経営相談会のお知らせ【IT活用・インターネット活用】 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2021/12/10 10:18)

国内IT大手4社の連結決算 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2020/11/05 10:47)

オンライン無料経営相談会のお知らせ【IT起業】 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2020/10/16 11:15)

セミナー開催 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2020/09/07 07:43)

さらに一歩踏み込んだITやインターネットの活用 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2020/07/07 10:42)